これがわかれば達人!【FB用語解説】すっかり業界人編

2018/01/07 11:00 更新


 繊研新聞にて、毎日欠かさず掲載してきた「FB用語解説」から30をえりすぐり、難易度別に「基本の〝き〟」「すっかり業界人」「かなりの達人」に区分してみました。今回は、「すっかり業界人」編をお送りします。

 さあ、どのくらい正確に答えられるでしょう?お楽しみください。

「基本の〝き〟」編はこちらから

□インライン

カタログ掲載モデル


 別注品や地域・店舗限定モデルなどと区別して、メーカーが製品カタログに掲載しているもの、または展示会に出品し、小売店から受注する製品全般を指すことが多い。海外のライセンサーやブランドホルダーが企画した輸入商品を、国内製造品と区別してインラインと呼ぶ企業もある。語源は定かではなく、ライン自体も「生産ライン」を指すのか、「商品ラインナップ」を意味するのか不明。インラインという表現がよく聞かれるようになったのは、メーカーが小売店ごとに色や仕様を個別に変更し、対応するケースが増えているため。


□タグライン

理念表すメッセージ


 tag line。企業名やブランド名に付随して設けられるメッセージ。具体的で、誰にでもわかる言葉で簡潔に書かれている必要がある。一般的には「商品広告の結語として用いられるキャッチフレーズないしスローガンのこと」とされる。メッセージとして理念やコンセプトを表し、シーズンごとに変化するテーマやコピーとは異なり、一定期間固定的に使用される。有名なものでは、日産自動車の「やっちゃえ、ニッサン」、ニトリの「お、ねだん以上」などがある。


□80后(バーリンホウ)

中国市場の変化の象徴


 中国で1980年代に生まれた世代で80後とも表記される。改革解放後の経済成長の中で育ち、「それまでの世代とは価値観、消費行動、美的センス、コミュニケーション手法などで大きく異なる」と言われる。その数は2億2000万人以上とも。中国市場の新たな担い手として以前から注目されていたが、「働き盛りとなり、購買力が高まってきた。ファッション感度が高く、中国で売れるものが変わってきた」と関心が高まっている。攻略にはSNS(交流サイト)やオンラインショップの活用が鍵となる。


□ブートニエール

ジャケットのラペルホールまたは飾り花


 ジャケットにあるラペルホール、またはそこに付ける飾り花のこと。もともとはフランス語でボタンホールの意味を持つ。19世紀の欧州で男性が求婚する際、女性に花束を贈る習慣があり、女性が受け入れる場合はその花を1本抜いて、男性のラペルに挿したのが由来と言われる。その後、求婚の有無にかかわらず、ラペルの穴に花を飾る着こなしが普及した。生花だけでなく、花をモチーフにした飾りも広がった。昨今はジャケット用以外にも、飾りボタンとしてシャツに応用されている。


□ボウ

蝶結び、リボン結び

「ハベル」のボウタイ

 英語のbow、蝶(ちょう)結びのこと。様々なアイテムに付いたリボン飾りやリボン結びなども、日本ではリボンと言うのが普通だが、英語だとボウになる。ボウタイは日本では蝶ネクタイ、または蝶タイと呼ぶことが多い。自分で結ぶものと、結んだ形ができていて首の後ろで着脱するなどの簡易なタイプがある。襟からそのまま細長く伸びたリボン状の部分を結ぶボウブラウスは、クラシックでレディーライクなアイテム、または古着感覚のレトロなアイテムとしてレディスのトレンドにもなっており、多くのブランドで売られている。


□ハンカチーフヘム

スクエアな布の動き

「アキラーノ・リモンディ」18年春夏コレクションから(写真=大原広和)

 ハンカチーフ状の布地を垂らしたヘムラインのこと。ハンカチーフの角のようなスクエアな布のディテールで、動くとふわふわとドレープを描く。18年春夏トレンドはハンカチやスカーフのような布を斜めに垂らすデザインが多く、たくさんのハンカチーフヘムのドレスやスカートが登場した。典型的なハンカチーフヘム以外にも、たくさんのスカーフをタッセルのように垂らしたヘムもある。このトレンドの流れから、ヘム以外にもスクエアな布のディテールが広がりそうだ。

□モデリスト

デザイナーと生産現場を結ぶ技術者


 modelist。狭義ではモデル=型紙を作る人、デザイナーの考えたデザイン通りに作品見本を作る人という意味。イタリアではモデリスタと呼ばれ、アパレル産業を支える専門技術者。デザインや素材に関する知識、縫製技術を習得していることが条件となる。企画者の製作意図を反映し、縫い方も考えてパターンやサンプルを作り、裁断、縫製など生産工程全体の管理、コスト計算、工場管理まで行い、デザインと生産を結ぶ重要な役割を担う。フランスではトワリストとパトロニエが分業でモデリストの仕事を行っている。


□コットンリンター

綿花採取後の種子に残る繊維原料


 綿花を採取した後の種子の表面に付いて残っている、長さ2~6ミリの毛羽状繊維。キュプラや木材パルプに代わる紙の原料などとして使われる。繊維長が短く紡績用には向かないが、高い割合でセルロースを含むため、再生繊維の主原料として活用される。資源を有効に使う点からも評価されている。原料を酸化銅アンモニア溶液に溶かしてから凝固液中に押し出して製造する。キュプラは裏地や民族衣装のほか、不織布としてガーゼやフェイスマスクなど医療・美容用途にも使われている。


□BAT

中国ネット業界を代表する三つの企業


 中国のインターネット業界を代表する三つの企業の頭文字を取った言葉。三つの企業とは、百度(バイドゥ)、阿里巴巴(アリババ)、騰訊(テンセント)で、百度は検索エンジン、阿里巴巴はEC、騰訊はSNS(交流サイト)を主力事業に企業規模を拡大してきた。ただ、BtoC(企業対消費者取引)オンラインショッピングモール「天猫」で存在感を増すアリババ、メッセンジャーアプリ「微信」(ウィーチャット)が席巻するテンセントに比べ、バイドゥの存在感が弱まっているとも言われる。


□ピエロカラー

カラーフリルを飾った襟

「ロシャス」17~18年秋冬コレクションから(写真=大原広和)

 ピエロの衣装に見られるフリルを飾った襟のこと。ブラウスの首の回りを一周ぐるりとフリルやラッフルで縁取ったデザインで、ふわふわと揺れる様子が愛らしい。ロマンティックな雰囲気が楽しめる。装飾性がトレンドとなるここ数シーズン、注目のディテールとして浮上している。17~18年秋冬は「ロシャス」や「ニナ・リッチ」がピエロカラーのドレスやブラウスを発表した。フリルカラー、ラッフルドカラー、さざ波を意味するリップルドカラーなど、さまざまな呼び名がある。

「かなりの達人」編に続く



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