これがわかれば達人!【FB用語解説】基本の「き」編

2018/01/06 06:30 更新


 繊研新聞にて、毎日欠かさず掲載してきた「FB用語解説」から30をえりすぐり、難易度別に「基本の〝き〟」「すっかり業界人」「かなりの達人」に区分してみました。今回は「基本の〝き〟」編です。

 さあ、どのくらい正確に答えられるでしょう?お楽しみください。

□バングル

留め金の無い腕飾り


 bangle。手首を装飾するアイテムの総称をブレスレットとする中で、留め金が無いデザインのものをバングルと呼ぶ。一部留め金があるケースもあるが、チェーンのように動きのある素材ではなく、メタルプレートやガラス、樹脂など形状が安定した素材を使っているのが特徴だ。多くはラウンド型、または着脱用の開口部のあるC型のフォルムに仕立ててある。腕まわりを盛るトレンドが続いており、肌の露出の増える春夏にかけてバングルが良く動く。シンプルなスタイルに存在感のあるメタル製でアクセントをつけるコーディネートが人気だ。重ね付けでの提案も増えている。


□接着芯

表地に接着させて服の形を保つ

日本バイリーンのノンアイロンの接着芯地

 fusible interlining。型崩れを防ぎ、表地にハリを持たせるために衣服の内側に芯地を使うが、毛芯やバス芯のように糸で縫い付けるフラシ(振らし)芯に対し、接着剤によって表地に直接貼り付けるものを接着芯という。アイロンで押さえるだけで接着できるため作業が簡単で、薄くて軽いため、多くの衣料品に使われている。モアレや、表地への接着剤のしみ出し、接着剤の硬化といった接着芯の難点も技術開発によって改善されている。繊維形状や組成、組織、ストレッチ性能など品種や使用部分によって様々な接着芯が使われている。


□ツータック

ボトムの腰回りにゆとり


 スラックスの前部のウエストバンドの下に入るひだが2本あるもの。ウエスト部分に相当のゆとりが生まれるため、太いシルエットで採用される。最近、若い世代向けのメンズパンツのシルエットがワイドにシフトしていることからタック入りのパンツが増えている。大人向けのスラックスでもクラシックなスタイルを表現できることもあり、ツータックで腰周りがゆったりしていて裾にかけてテーパードするタイプが主流になってきた。外倒しだけでなく、内倒し(インタック)が目立つ。


□ワイズ

靴の計測部位、足の周囲の長さ


 日本語で足囲。足の親指の付け根から小指の付け根を取り巻いて計った長さのこと。サイズは、足裏の長さのこと。JIS(日本工業規格)で定められた靴は、立体の足の形状を反映し、足長と足囲の2種類の計測部位の組み合わせで成り立つ。現在の既製靴の多くは、足囲が統一された商品となるが、婦人靴は本来、A、B、C、D、E、EE、EEE、EEEEの8種類がある。紳士向けはこれらにF、Gを加えた10種類。Aが最も小さく、アルファベット順に太くなる。


□タフタ

ダウンアウターの定番素材


 taffeta。緻密(ちみつ)で薄い平織物。語源はぺルシャ語で「紡ぐ」を意味するtaftahなど諸説ある。本来は経糸と緯糸で異なる加工をした先染めの絹織物のことだが、現在は化合繊の長繊維が主流。その代表がダウンアウターの表地でよく見られる「高密度タフタ」。ナイロンやポリエステルの極細繊維をさらに高密度で織り上げ、薄く軽く、透湿防水や防風性能に優れたものが多い。今秋冬のレディス市場は立ち上がりからダウンアウターの売れ行きが良く、「当たり年」との声も上がるが、高密度タフタの一大産地である北陸は減産傾向にある。


□ロゴTシャツ

ブランドやマークをプリント

「アンリアレイジ」から

 ロゴを胸や背中などに配したTシャツのこと。ロゴは「logotype」の略。二つ以上の文字を一つにまとめた連子活字のことだが、一般にはブランドのシンボルマークも含めてロゴと呼ばれている。ブランド名やシンボルマークを胸にプリントするのが主流になっている。ロゴプリントのサイズは大小様々。インスタグラムなどSNS(交流サイト)映えを意識して、特に今春夏はヤング層を中心にヒットした。有名ブランドでは入荷後、即完売するケースも多く、インターネット上で定価の数倍の値段で転売されるケースもある。


□ライセンスビジネス

商標など知的財産を活用


 自社のブランド(商標)などの使用を他者に認め、その代わりにロイヤルティーとして対価を得るビジネス。キャラクター、特許などの知的財産もその対象になる。ブランド使用の許可を得た企業がマスターライセンシーとなり、さらに商品アイテムごとにサブライセンシーを募ってブランド展開することをライセンスビジネスと呼ぶこともある。90年代のアメカジブームでは、米国で人気になったストリートブランドを日本でライセンス展開するビジネスが隆盛となったが、2000年代に入ってからは下火になっている。


□販売代行業

店舗での商品販売を代行


 販売チャネルを持たないアパレルメーカーなどの商品販売を代行すること。一般的に店舗の出店はメーカーが行い、店舗での販売とそのための要員(販売員)確保は代行業者が行う。代行業の収入は仕事の内容によって異なるが、メーカーなどと取り決めた売り上げ(販売)手数料が基本。代行業は個人企業が多いが、アウトレット施設や高級ブランド店を複数ブランド手掛ける成長企業もある。人手不足時代の新たな成長戦略として、代行業を有効に活用するメーカーやSCディベロッパーも出てきている。


□サステイナビリティー

配慮と収益追求、矛盾なく両立


 環境へ負荷を与えない生産、販売のプロセスの実現、自社・取引先の従業員の働きやすさの確保などを収益追求と矛盾することなく実現しようとする企業の取り組み。CSR(企業の社会的責任)が企業を成長させ、同時に利益の一部を社会に還元し、環境へもできるだけ配慮しよう、という考え方であるのに対し、サステイナビリティー(持続可能性)は経済成長と、環境や社会に対するマイナス影響の低減との両立を図るものと言える。インディテックスやH&M、ファーストリテイリングなどグローバル大手の取り組み強化が近年目立つ。


□百貨店

市場規模がピーク時の6割に

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 小売業の一つ。衣・食・住の商品群のそれぞれが10%以上70%未満を取り扱い、売り場面積の50%以上において対面販売を行う業態。類義語はデパートメントストア、デパート。日本では1904年、三越呉服店(当時)が「デパートメントストア宣言」を公表し、百貨店という業態を目指したのが始まり。海外ではパリのボン・マルシェとされる。市場規模は91年の9兆7130億円のピーク時と比べ約4割縮小し、16年の全国百貨店売上高は36年ぶりに6兆円を割り込んだ。小売業のなかで百貨店のシェアは4%台と低く、存在意義が問われている。


「すっかり業界人」編に続く



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