【FB用語解説特別編】2021年はこれを知らなきゃ!業界ことばの腕試し・運試し

2021/01/01 06:27 更新


 明けましておめでとうございます。昨年は世界規模で大変な経験をしましたが、気分一新、健やかで楽しい1年にしていきたいものです。まずは、毎日掲載している「FB用語解説」から新年の特別編をお送りします。

 21年のファッションビジネス業界で必ずや見聞きするはずの用語を選りすぐりました。運試しも兼ねて、どうぞお試しあれ!

□ベアバック 背中を強調するデザイン

ジバンシィ

 21年春夏のデザイナーコレクションは、若々しくてヘルシー、開放的なイメージが多くみられる。目立ったのがベアバックのドレスやトップ。「bare」(ベア)は「裸の」の意味で、後ろ身頃を大きく開けてエプロンのような形にしたり、背中をくりぬいてストラップを交差させたり、カットワークなどで肌をのぞかせるものが増えている。コロナ禍を経た春夏に求める自然体の服、生命力を感じさせるデザインの象徴とも言えそうだ。バックシャンと言うこともあるがこれは和製の造語で、ベアに限らず背中に目立つポイントのあるデザインを指すこともある。

□ボーイフレンドジャケット ヘルシーガールを象徴

スポーツマックス

 女性がボーイフレンドのジャケットを借りて着ているかのようなオーバーサイズのテーラードジャケットのこと。ショルダーや着丈、身幅などがゆったりし、マスキュリン(男性らしさ)とフェミニン(女性らしさ)をミックスできる。ほどよいオーバーサイズで女性のきゃしゃなムードを強調できる。もともとは00年代初めに注目を集めたアイテムだが、21年春夏コレクションのトレンド「ヘルシーガール」を象徴するアイテムとして脚光を浴びている。

□アメリカンスリーブ ヘルシーな肌見せ

MSGM

 ノースリーブトップのデザインの一つ。首の付け根からアームホール下まで、肩を大きくカットしたデザインを指す。アメリカ式の袖という和製英語。ドレスでよく見られるデザインだが、21年春夏コレクションではジャージーのトップやブラトップ、クロップトトップなどカジュアルアイテムに落とし込まれている。アメリカンスリーブをポイントにしたヘルシーな肌見せスタイルは、21年春夏のポジティブで快活な女性像にもぴったり合う。多くの有力ブランドが、新作に取り入れている。

□ビブカラー クラシカルな雰囲気の襟

グッチ

 bib collar。前襟が長く垂れ下がったフラットな襟のこと。bibとは、「よだれかけ」や「胸当て」の意味で、よだれかけのように胸元を大きくカバーするデザインが特徴だ。つけ襟、飾り襟を指す場合もある。白地にレースやフリルを飾った装飾的なデザインが多い。16世紀ごろに見られたディテールで、クラシカルな雰囲気が楽しめる。20~21年秋冬コレクションでは、「グッチ」がイニシャルを刺繍したコットンのビブカラーをシックなブラックドレスに組み合わせた。

□ビショップスリーブ 司教の僧服のカフス付きの袖

サンローラン

 bishop sleeve。ビショップとは司教のこと。カトリックの司教の僧服に使われるわずかに膨らむ長袖を指す。全体的に空気をはらんだ袖の袖口にギャザーを寄せてすぼめてカフスで留める。クラシカルできちんとした雰囲気が感じられるデザインで、レディーライクなブラウスやドレスに使われる。20~21年秋冬は、ヒストリカルなクラシックイメージが注目され、ビショップスリーブのアイテムが多く揃った。同じフォルムの袖にペザント(peasant、農婦)スリーブもあるが、こちらは素朴でナチュラルな印象。色や素材の違いで名称が使い分けられる。

□コルセット 胴を整える女性用下着

コルセットがアイコンの一つだった「ゴルチエ・パリ」

 corset。バストから腰にかけてのラインを、きゅっと美しく整える女性用下着。針金やそれに代わるもの(ボーン)を入れ、ひもで編み上げるなどして形を作る。19世紀には男女ともに着用されたらしいが1890年ごろ、これを着けることでできるシルエットが女性に流行して広がった。20~21年秋冬デザイナーコレクションでは、こうしたクラシックのエッセンスをドレスなどに取り入れてモダンに表現したデザインが注目された。似ているものにビュスティエがあるが、こちらは肩ひものないジャージーなどのベアトップのこと。

□フラッパードレス 袖なしの膝丈ドレス

ランバン

 flapper dress。フラッパーは1920年代に欧米で流行した、社会や道徳的な制約にとらわれずに行動する若くて自由な女性たちを指す。「おてんば娘」という意味があり、映画にもなった小説『グレート・ギャツビー』に登場する女性が象徴的。彼女たちが好んだ袖なしの膝丈ドレスをフラッパードレスという。ストレートラインの身頃に、リリヤーンやビーズをつないだ艶やかなフリンジを飾ったものが多く、ジャズに合わせてリズミカルに揺れる様子が奔放な雰囲気を出す。20~21年秋冬デザイナーコレクションで、フラッパードレスのようにフリンジが揺れるデザインが広がった。

□フルイドライン 風に揺れるシルエット

ニナ・リッチ

 fluid line。「流れるような、流動的な」を意味するフルイドは、ファッションでは、風をはらんで揺れるような布の動きとして表現される。フルイドラインは、20~21年秋冬のトレンドの一つ。軽やかに風に揺れるようなシルエットで見せる。人の動きに合わせ、揺れ動く布が特徴。ストリングスやビーズ刺繍、ビジューチェーン、フリンジ、細く垂れる糸状のパーツが弾むように揺れる。ハンドクラフトの持つ繊細な魅力をアピールする。

□ジェンダーレス 性別を超えて自由に服を着る

 genderless。ジェンダーフリー、ジェンダーフルイドとも言われる。男女の性差を超えて、自由に服を選び着ること。世界的な流れとなっているLGBTQ(性的少数者)の権利拡大とともに、これまでの男らしさや女らしさにとらわれない服の着方を提案する動きが広がっている。20~21年秋冬メンズコレクションでは、これまでとは異なる新しい男性像を模索する動きが強まり、多方面から注目された。「グッチ」は「家父長制度の社会の男性らしさの概念を解体する」コレクションを見せた。男らしさの象徴としてのスーツスタイルも変わり始め、その影響も広がってきた。

□イヤカフ 耳に穴を空けないアクセ

 ear cuff。耳たぶや耳の軟骨にはさむようにして着けるアクセサリー。ピアスのように耳に穴を空ける必要がなく、気軽に楽しめるイヤアイテムとして人気を集めている。バリエーションは、小ぶりのC型のタイプと、耳の後ろからひっかける大ぶりのフック型がある。最近は、特に小ぶりのイヤカフをピアスと合わせてつけたり、イヤカフを複数重ね付けたりのコーディネートも増えた。若年層から大人の女性、男性にも支持を広げている。

□ステップフレイ 段違いのカットオフ

 stepは「段」、frayは「ほつれた」の意味で、ジーンズの裾を前後で長さを変えて段違いに切って、裾をそのままほつれさせたカットオフ加工のこと。ステッチをかけて始末しない「フレイ」裾のジーンズは19年ごろから「こなれ感」「抜け感」を演出するディテールとしてトレンドになったが、その進化版として、裾の前側を後ろより短めにしたステップフレイが流行し始めた。「マザー」などアメリカのセレブ御用達のジーンズブランドが始め、20年に日本でも取り入れるレディスブランドが増えた。21年春夏も継続しそうなディテールだ。

□カディ インドの手紡ぎ綿布

 khadi。インドの手紡ぎ糸を手織りした伝統的な綿の織物のこと。チャルカと呼ばれる糸車で紡ぎ、織り上げるもので、ところどころに節糸が入り、素朴な風合いを作り出す。軽くて繊細な風合いで、ラスティックな雰囲気でありながら軽やか。21年春夏に向け、インドでカディを依頼してチュニックのようなアイテムに仕立てたブランドが複数あった。ここ数シーズンのファッショントレンドの背景にレトロなムードがあるため、手仕事の繊細さや懐かしい雰囲気のあるカディが注目されている。

□消費税の総額表示 特例が20年度で終了

 商品やサービスについて、消費税額を含めた価格を値札やチラシなどに表示すること。政府が04年4月に消費税法で義務付けた。小売り段階の価格表示が対象。消費者が価格の比較を容易にできることなどが目的。13年10月からは段階的な増税に対し、値札の貼り替えなど事業者のコストを軽減するために、消費税転嫁対策特別措置法により総額表示を要さないことになっている。この特例は21年3月の終了が決まっており、総額表示の本格的な対応が必要になる。

□収益認識基準 国際的な会計基準に近づける

 21年4月1日から始まる事業年度から「収益認識に関する会計基準」(収益認識基準)が適用される。考え方が変わり、売り上げが大きく減ったように見えるケースが出てくる。収益認識とは「いつ」売り上げを計上するかという意味。新基準では「いつ」「いくらで」「どのように」計上するかを定めた。国際的な基準に近づけるのが狙い。製品と保証サービスのセット販売や消化仕入れ契約、ポイント付与などで従来とは計上する額や時期が変わるなど業務や契約内容にまで影響を与える。

□ウェブ面接 新型コロナで導入急増

 オンライン通話サービスを使って行う面接。オンライン面接とも呼ばれる。新型コロナ感染拡大で、21年春の新卒者を対象とした採用活動で急きょ、導入する企業が増えた。約6割の企業がウェブ面接を行ったとの調査結果もある。対面での選考活動の良さが見直される半面、「遠隔地の学生にも交通費の負担がなく、より多くの学生と1対1で、じっくり話ができる」利点も確認され、22年春以降の採用活動でも継続されそうだ。

《セルフチェック》

知識がどのくらい正確か自己採点してみましょう。

■15点満点 「大大吉」君に敵なし。前途洋々!

■10~14点 「大吉」幸先よろし。おめでとう!

■5~9点  「吉」運気は上昇、待ち人来たる。

■1~4点  「末吉」みんな違ってみんないい。

■0点  時を戻そう!この特徴は再挑戦。



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