【ファッションとサステイナビリティー】長期ビジョンの柱にサステイナブル据えるサンゲツ サプライチェーンで排出削減、進む資源循環

2022/02/25 05:30 更新


 インテリア大手のサンゲツ(名古屋市)は20年5月、グループの長期ビジョン「デザイン2030」を策定した。グループをスペースクリエーション企業と位置づけ、実現を目指す社会的価値として「インクルーシブ(みんなで)」「サステイナブル(いつまでも)」「エンジョイアブル(楽しさあふれる)」を掲げる。事業活動における環境負荷の低減は同ビジョンの重要な柱の一つ。事務所、倉庫から排出されるGHG(温室効果ガス)や資源の削減にとどまらず、生産工場から排出されるGHGやエネルギー、端材などの削減や、見本帳の回収・リサイクル、建築物に施工された商品の回収など、同社の事業領域全体の環境負荷を把握し、その低減や資源循環の体制構築を進めている。

仕入れ先との協業も

 GHG排出の削減に向けては、サンゲツ単体では30年度に排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)の実現を目標にしている。ハイブリッド車を中心とする環境対応・低燃費車への営業車両の全面切り替え、中部ロジスティックセンター(愛知県稲沢市)の屋上に2000平方メートル超の太陽光発電パネルの設置、排出係数の小さい電力の調達など様々な取り組みが進行中だ。

 ただし、同社は商社機能が主であり、商材の大半はメーカーからの仕入れだ。製造から流通までのサプライチェーン全体から排出されるGHGに対して、同社の排出量はグループ連結でみても数%程度(スコープ1=事業者自らによる直接排出、スコープ2=他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出の合計)。サプライチェーンから排出されるGHGの9割以上を仕入れ先のメーカーなどが占めている(スコープ3=事業者の活動に関連する他社の排出)。

 事業活動における環境負荷の低減のため、自社やグループ企業にとどまらずサプライチェーン全体に目を向けた。仕入れ先126社にアンケートを行い、各社のGHG排出量を把握。インテリア業界でこれほど大規模な調査はおそらく初めてだ。GHG排出量の実態をつかみ、仕入れ先との協業で排出量の削減を進める。

見本帳をリサイクル

 21年4月に開設した「見本帳リサイクルセンター」は、見本帳を回収し、解体、分別を行う。同社では壁紙や床材、ファブリックなど約1万2000点の内装材を企画し、約30種類の見本帳で顧客やエンドユーザーに提案し、販売している。見本帳のデジタル化にも取り組んでいるが、直接触れて質感が確認できるリアルの見本帳への要望は根強い。市場のニーズやトレンドに対応した新製品や、より価値の高い製品の投入などで、ほぼ2~3年のサイクルで改定される。ただし、同社が発行する見本帳は年間150万冊にのぼるが、回収されるのはそのうちの10%ほどで、大半は廃棄されている。

 見本帳は、台紙(紙)や塩化ビニル樹脂や化学繊維といったサンプルチップなど複数の素材で構成されている。循環の仕組みを作るには、素材ごとに分別する作業が必要になる。解体も分別もせず、産業廃棄物として処分すれば手間もかからず、コストも抑えられるが、「見本帳を発行する企業の責任」として、資源循環の仕組み作りに取り組んだ。

 まず、顧客から回収した見本帳は同センターに持ち込まれる。見本帳は手作業で解体され、素材ごとに分別される。紙は製紙会社で再生紙として、塩化ビニル樹脂は塩ビリサイクル会社で再生塩ビ樹脂としてリサイクルされ、繊維やプラスチック類はセメント原料となる。

 初年度に掲げた5万冊のリサイクル目標は達成できる見通しだ。来期は破砕機の導入などで作業の効率を高めるとともに、対象エリアを広げ13万冊のリサイクルを目標にしている。

 同社は障害者の活躍支援に取り組んでおり、22年度の障害者雇用比率4.0%を目標にしている(19年度は3.1%)。センターの稼働に合わせ4人を新規に雇用、作業スタッフとして見本帳リサイクルを担っている。

初年度は5万冊をリサイクル、手作業で解体し素材ごとに分別する

環境商品を提供

 00年10月から開始した「サンゲツカーテン・エコプロジェクト」では、カーテンに引き換え証となる専用タグを付け、サンゲツ本支社の連絡先、商品名、組成などを記載する。不要になったカーテンを回収し、リサイクルする試みだ。素材組成や加工に応じて、ケミカルリサイクル(再資源化)やサーマルリサイクル(固形燃料として熱エネルギーに転化)などで処理する。

 カーペットタイルのリサイクルや、廃番になりデッドストックとなった商品やカットロスで発生する端材のリサイクルやアップサイクルも進行中だ。資源循環の仕組みの整備に伴い、リサイクル率は83%に高まっている。

 消費者の環境への意識も高まっている。回収した漁網などを原料とするリサイクルナイロン「エコニール」を使ったカーペットは、価格差があっても環境保護の観点で選ぶ施主は多いという。同社では、床材の主力シリーズ「NT700」で、価格帯はそのままで、カーペットに使うバージンナイロンをエコニールに置き換えた。環境商品だから高いという概念を払拭(ふっしょく)し、スタンダード商品として提供。進化する消費者のニーズに対応するとともに、資源循環に貢献する。

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