【ファッションとサステイナビリティー】三越伊勢丹ホールディングス総務統括部サステナビリティ推進部長 宮下真紀子さん 6つのワーキンググループを設置

2022/04/28 05:29 更新


宮下真紀子サステナビリティ推進部長

 持続的な成長を続けるための姿勢や活動をステークホルダーに対して理解してもらう「サステナイビリティレポート」を21年11月に初めて発刊した。これまでグループ内の各社が取り組んできたサステイナビリティ―(持続可能性)活動について、全社で見える化し、さらに社内外に分かりやすく伝えて、実践を支援するサステナビリティ推進部を22年4月に発足した。

 22年度は六つの重点課題で、ワーキンググループを設置しています。本業を生かして取り組むことができる課題であるか、グループが取り組む意義があり、成果を上げることができる課題であるか、という観点で①人・地域をつなぐ②持続可能な社会・時代をつなぐ③従業員満足度の向上をグループ全体の取り組みの中心に据えています。

 当社が考える社会貢献と事業活動の両立は、お客様の悩みや困り事に対して感動的に解決することと、お客様のニーズへの革新的な提案の二つの提供価値にあります。それこそがCVS(共有価値の創造)であり、当社グループの存在意義に他なりません。

 百貨店を中心に取り組んでいる「シンク・グッド」は地域産地支援・環境保護のためのサステイナブルな品揃え、資源循環のための4R(リデュース、リユース、リサイクル、リフューズ)の推進、文化継承のための技術・感性の発信の三つを柱に双方向のコミュニケーションを促し、顧客の選択肢を増やす活動を推進しています。

 21年4月にスタートし、案件数は年間で571件に達しました。従業員一人ひとりが今起きていることを知り、取引先と協業しながら企画、実行し、顧客に伝わる水準までチェックし、体験してもらってフィードバックするPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回して持続可能な社会の実現を目指しています。

 好事例となるのが不用品の買い取りサービス「アイムグリーン」です。お客様が持ち込んだ衣料品やハンドバッグ、時計、宝飾品などを買い取る、または無料で引き取って、提携先を通じて販売・リサイクルします。「売りっ放しにしない」という新たな事業モデルです。利用者のリピート率は3割に達しています。

 「リーバイス501」のユーズドストックをアップサイクルした「デニム・デ・ミライ」プロジェクトは、小売り6社が横断し、国内外60のブランドやクリエイター、アーティストが手掛けた200型超の協業品を開発、販売しました。売り上げは予算比で10%増となり、事業としても成立した事例になりました。

 サプライチェーン・マネジメントは22年度ワーキンググループの重要課題の一つです。21年7月にコンプライアンス(法令順守)、品質管理、環境など5項目でアンケートを実施し、取引先292社から回答を得ました。取引先説明会を同年11月に開いており、責任ある調達に対するパートナーシップの精度向上に結び付けます。取引先とのコミュニケーションを発展させ、情報のハブとなって実態把握と改善を進めていきます。

(繊研新聞本紙22年4月28日付)

ファッションとサステイナビリティー トップへ戻る

関連キーワードサステイナブル



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事