【ファッションとサステイナビリティー】FINE取締役COO 津田一志氏 流通在庫減少するも専門業者は必要

2021/07/29 05:59 更新


 ファッション衣料を中心とした流通在庫を買い取り、自社ブランド「リネーム」などで卸販売してきたのがFINE。ファッション市場で高まってきた過剰生産・流通在庫増加に対していかに圧縮するか。そして衣料品の廃棄や焼却による温室ガス発生も大きな比率を占めるとして、流通在庫の再生が大きなうねりになってきた。この背景を受けて創業以来扱い数量を急拡大してきた同社だが、ここにきて扱い数量は横ばいに転じている。コロナ禍によってアパレル商品の市中流通量が減少したことに加え、一品単価の向上や買い取りロットの中小化なども理由だ。同社の津田一志取締役COOに聞いた。

 コロナ禍の影響を受けた昨年は、アパレル・ファッション業界の各社が一様に業績を落としたために、余分な在庫を持たない傾向が強まりました。

 このため市中の商品流通量は減り、仕入れ対象の商品数量が減りました。一方で同業の再販業態の新規参入が増え、この結果として競合が強まりました。当社の20年9月期は、コロナ以前の増収をコロナ以降が苦戦して通期では横ばいもしくは若干の売り上げ減となりました。

 売り上げを落とした大きな要因は、コロナ禍を反映して店頭催事や期間限定店舗が設営できず、店舗売り上げが大幅に減ったことです。しかしECなどのオンラインの販売は堅調に推移しています。またコロナ終息を見据えて、顧客からの「オフプライス業態を立ち上げるので仕入れしたい」などの引き合いは増えてきました。

 一方で大きな流れとしては、市中の流通量は減っていくと思います。アパレル業界の過剰生産・流通在庫増を改善する取り組みは本格化しています。加えてサステイナブル(持続可能な)への高い関心や環境配慮面からも、作り過ぎによる市中の流通在庫は減っていく傾向にあると思います。

 また、アパレルメーカーがアウトレット店やオフプライス業態などによって自社処分を行う傾向も強まっています。

 ただし自社処分については課題も多いです。一つは作業が煩雑で人員やコストがかかる点です。品番数も多く、店舗への商品入荷もまちまちで、きめ細かい管理も必要です。

 色やサイズ、デザイン、ブランドイメージなどで価値が異なるものを一律に値引きや価格を変更することは容易ですが、在庫処分になりにくい面もあります。色やサイズによっては売れ残ってしまいます。

 商品の価値によって再販価格を決めて売るのが最も在庫を減らす対策だと思います。

 当社は買い取りから品番ごとの在庫、販売までの専用のシステムを導入し、値引き率や売り切るノウハウや経験から専門スキルをもっています。流通在庫が一定ある中で求められる業態と考えています。

津田FINE取締役COO

(繊研新聞本紙21年7月28日付)

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