【ファッションとサステイナビリティー】ジュエリー素材、再生して環境への負荷を軽減

2022/10/28 05:30 更新


阪急うめだ本店で開催中の「責任ある調達・リファインメタルジュエリー」展

 ジュエリーでもサステイナブル(持続可能)な取り組みが少しずつ広がっている。環境や労働条件、公正な取引などに配慮した取り組みが増えてきた。素材選びでは、環境への負荷を軽減するため、一度製品などになった貴金属や宝石を再生して使う動きがある。昨年発足した一般社団法人リファインメタル協会の活動もその一つだ。

 阪急うめだ本店は、「責任ある調達・リファインメタルジュエリー」と題した催しを10月19日~11月1日に実施している。リファインメタルとは、リファインメタル協会が定義、認証する再生貴金属で、国内で市場に出たジュエリー製品や携帯電話などの廃棄物、ジュエリー製造過程で出た端材などを回収し、再利用した貴金属を指す。

 催しでは、「ハム」「ヴァンドーム青山」「カオル」「ロウジェ」「stoRe(ストーリー)」の5ブランドが、リファインメタルを使用したジュエリーを企画している。店頭VMDにおいても、貴金属が再生され、製品となるまでの工程を展示するなどして消費者にアピールしている。

ハム
ヴァンドーム青山
ストーリー

 阪急うめだ本店では、年間通してサステイナブルな取り組みを行っているが、10月は強化月間であり肝いりのイベント。今回の催しについて、婦人服飾品営業統括部アクセサリー・シーズン雑貨営業部の春花温子氏は、「衣料品や食料品に比べ、ジュエリーはサステイナブルと聞いても消費者としてはピンとこないのが課題だった」とし、同企画を準備してきた。「ジュエリーを選ぶ時の意識や行動を変えるきっかけ作りとして、ジュエリーの変わらない・ずっと永く使う価値を提案し、モノに対する価値観の気付きの場を提供したい」と話す。開催前にはリファインメタル協会から、各ブランドの売り場店長に向けた販売セミナーをオンラインで実施して接客にも備えた。

 リファインメタル協会は21年5月に発足、その後、ジュエリー製造メーカーや小売り企業などからの基金を得て、現在、改めて日本リファインメタル協会として登記を進めている新しい団体だ。代表理事を務める貞清智宏氏は、ハムの職人でもある。元々は同氏を中心に、18年から「リファインメタルプロジェクト」として啓発を続けてきた活動がバックボーンにある。「鉱山での自然破壊に配慮し、再生金属を使うという動きは以前から世の中にあった。ただ、それを1社が独占したり、1社だけのマーケティングに使うより、みんなが集まって、インフラみたいなものを作ったほうがいい」(貞清氏)との思いで、社団法人化に踏み切り、この間、業界内で活動について説明やヒアリングを重ねてきた。

日本リファインメタル協会理事長の貞清智宏氏

 現時点で協会は、基金を拠出した企業が理事を務め、運営を担っており、今後、ブランドなどからも会員を募る。「ブランド側がリファインメタルを使用し、ジュエリーを作っていける流れにしたい」と話す。

 国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)のコンサルティングを受けながら、ガイドラインや認証制度作りも進めてきた。現在、リファインメタルを使用しているという製品の認証を希望するブランドには、申請書を提出してもらった後、生産背景を認証委員会がチェック。精錬、金属加工、鋳造、製品加工の各段階で鉱山から来た素材とは明確に分けた再生素材を使用しているか確認し、製品を認証する。また、リファインメタルを使用して生産できる工場を紹介することも可能だ。今後、独立した認証機関による、より高レベルでの認証を目指し、大手の検査・認証機関と話し合いも進めている。

 また、12月に開かれるクリエイタージュエリーの大型展示販売会「ニュージュエリートーキョー」でも、15人のデザイナーがリファインメタルでのジュエリーの企画やオーダーを受ける予定で、消費者への認知向上を図る。

 このほか、ジュエリー素材再生の動きでは、コメ兵が買い取ったジュエリーのダイヤモンドや色石をアップサイクルしたブランドを複数運営していたり、カラーストーンジュエリーの「ビズー」を企画・販売するドリームフィールズが、わずかな傷や欠けによりデッドストックやロスになる可能性のあった石を活用した新ブランドを立ち上げるなど、多角的な動きが見られる。企業単位だからこそできること、業界横断で基準を設けることで、広く活用が期待できるものなど、扱う素材により、ベターな取り組み方は変わるが、提供者と消費者双方の意識の高まりとともに、裾野が広がって行きそうだ。

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