FB企業の新卒採用、今春も増加傾向

2015/03/02 06:47 更新


 ファッションビジネス(FB)企業の新卒採用数の増加が続いている。繊研新聞社が行ったアンケート調査によると、15年4月入社の大学生・大学院卒の採用を増やした企業が半数近くに上った。景気回復を受け、16年春も増やす傾向が見て取れる。ただ、16年4月入社については、経団連の新たな採用選考に関する指針による、スケジュールの変更の影響を懸念する声が挙がっている。

採用

 アンケートは、素材メーカー、商社、アパレル・服飾雑貨メーカー、SPA(製造小売業)、ディベロッパー、百貨店、量販店などFB関連企業90社から回答を得た。うち、大学・大学院卒の4月採用を実施し、かつ、前年との比較可能な企業(85社)の採用動向は(グラフ1)の通り。採用が「減った」企業が41%あるものの、「増えた」47%、「前年並み」が12%と、維持または増加が上回った。

 商社や大手小売り、百貨店、SPA、大手アパレルなどで「増えた」が目立つ。短大・専門学校卒の採用がある企業も、「増えた」が46%、「前年並み」が22%、「減った」が32%と、大卒・大学院卒と同様に、増加傾向がうかがえる。

 16年春の入社では、大学・大学院卒の採用を増やす傾向はさらに強まる見通し(グラフ2)。短大・専門学校卒も同様に、「減る」と回答したのは7%にとどまり、「増える」30%、「前年並み」33%、「未定」30%だった。

インターンシップは6割が導入
 就職前の就業体験として導入が進んでいるインターンシップ制度。今回のアンケートの結果では、導入している企業は6割に上った(グラフ3)。導入を始めた年について回答があった41社の中では、「90年代から」という企業もあるが、多くは近年に始めたもの。特に13年から導入が急増している。13年からが8社、14年が11社、15年から開始した企業が5社。検討中のところも含め、今後さらに活発な導入が見込まれる。

課題は「男性が少ない」こと
 「採用活動における課題は?」の問いに対しての回答(複数回答)では、「男性が少ない」ことを挙げる企業が30社と最も多かった。「男性を採用したいが、女性の方が優秀な応募者が多い」ことや、そもそも応募者に占める男性の割合が少ないことも、FB企業にとっての悩みのようだ。さらに、「採用期間の長期化」(29社)、「内定辞退が多い」(22社)、「内定したい人数が集まらない」(16社)ことが指摘された。

 その他の意見では、「経団連の採用選考に関する指針の見直しの影響」への指摘が複数あった。16年春の採用からは「広報活動開始」(説明会開催など)が12月から3月へ、「選考活動開始」が4月から8月へと繰り下げられる。その影響は大企業だけでなく、大企業の選考の遅れのあおりを受ける中小企業にとって「選考スケジュールが不透明」になるとの懸念が広がっている。

【アンケート協力企業】AOKI、青山商事、旭化成、アシックス、アズノゥアズ、アダストリアホールディングス、イオン、イオン九州、イオンモール、イトキン、岩田屋三越、F・O・インターナショナル、エフ・ディ・シィ・プロダクツおよびエフ・ディ・シィ・フレンズ、オンリー、カイタック、柏圭、かねまつ、キムラタン、キング、近鉄百貨店、クラレ、クロスカンパニー、クロスプラス、桑山、グンゼ、神戸レザークロス、ゴールドウイン、小松精練、サダマツ、三陽商会、サンラリーグループ、しまむら、ジュン、ジョイックスコーポレーション、スタージュエリーブティックス、セーレン、セブン&アイ・ホールディングス、千趣会、ダイワボウホールディングス、高島屋、瀧定名古屋、タキヒヨー、タビオ、チクマ、チュチュアンナ、蝶理、TSIホールディングスグループ、帝人、東海染工、東洋紡、東レ、トリンプ・インターナショナル・ジャパン、ナイガイ、ナイスクラップ、ナルミヤ・インターナショナル、西松屋チェーン、ニッケ、日清紡テキスタイル、ハニーズ、バリュープランニング、パル、パルコ、パレモ、阪急阪神百貨店、ファイブフォックス、ファッション須賀、ファミリア、福助、フランドル、フレックスジャパン、ポンテヴェキオホッタ、マッシュホールディングス、丸紅、ミキハウス、ミズノ、三越伊勢丹、三菱レイヨン、御幸毛織、モリリン、山喜、ヤマトインターナショナル、ユニー、ユニチカ、リーガルコーポレーション、ルック、ルミネ、レナウン、ワークマン、ワールド、ワコール(50音順)



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