「言葉」で振り返る2016年ファッション業界

2016/12/26 17:30 更新


 繊研新聞で月に1回掲載している「至言・金言」。紙面に掲載されたインタビューやニュース記事から、経営者やデザイナーなどの印象的な言葉を拾い、業界のいまを切り取ります

 

 

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笑顔が絶えない職場っていうのが一番重要

ーーサザビーリーグ執行役員の三根弘毅さん

 

三根さん

 日本に進出して以来、勢いの衰えないロンハーマン。人気の秘密は、職場の「みんなのお客さんを幸せにしたいっていう気持ち」に変化がないことに、ありそうだ。「売り上げが悪い店でも、スタッフがすごく楽しそうにしていると、自然と良くなる。いい店だなと思ったら、また来てくれるから」という。

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知識や教養の無駄使いみたいなことがしたい

ーー「ノリコナカザト」デザイナーの中里周子さん 

 東京ブランドの新世代を代表する1人。意識しているのは、「不真面目さやユーモア、抜け感」。不真面目とは、「本物のエレガンスといった〝真面目〟を分かっているからこそ成り立つ」という。


大切な要素は自由

ーーデザイナーのフィリップ・スタルクさん

 

スタルク 

 飛行機や建物などで知られるが、最近、ビーチサンダルをデザインした。「選択の自由を満たす」べく、48種類デザインしたという。昔に比べてファッションのサイクルが早すぎるため、「テクノロジーを駆使してピュアなデザインを提案し、長く使ってもらいたい」という。


一瞬の1位ではなく、安定して1位というのが使命

ーー伊藤忠商事社長の岡藤正広さん

 

岡藤社長

 16年3月期の純利益で総合商社トップが確実視される。来期も「1位を取れるように頑張っていきたい」と話す。繊維のビジネスは「厳しいと言われるが、何か新しいことをやればいいし、何かを考えれば伸ばすことができる。ちょっとした工夫をすればいい」という。


企業が新しい商品やサービスを生み出す際に必要なのは多様性

ーーファーストリテイリングのCSR=企業の社会的責任=担当執行役員の新田幸弘さん

 ファーストリテイリングには13人の難民スタッフが働く。うち2人が正社員。難民の雇用は「良い刺激になるし、我々がそうした姿勢を持っている企業であることを、国を問わず様々な人材に知ってもらいたい」。難民の雇用を世界で拡大、数年内に100人まで増やすという。

関連記事:ファーストリテの難民雇用、研修公開


横並びの工賃を維持していては、人材が今まで以上に集まらなくなる

ーーセンチュリーテクノコア社長の森本尚孝さん

 人材難がファッション業界全体で課題になるなか、新卒の定期採用を続ける稀有(けう)な縫製工場だ。「余力のある工場だけでも賃金を上げなければ、若い人材はコンビニエンスストアなど他の業種への流出が止まらない」との危機感が強い。女性の働きやすさへの配慮などを目配りしながら、紳士オーダースーツの業績が2ケタ増ペースと好調だ。


そつがあったとしても、お客の心に好印象が残る接客が大事

ーーユナイテッドアローズ社長の竹田光広さん

 社内ロールプレイング大会の審査基準を一新した。ポイントは、技術の優劣よりも、いかに印象を残せるか。目指すのは「満足の先を行き、感動を味わってもらえる接客」。難度が高いが、「ネットでも買えるのに実店舗に来店するのは接客に感動があるから」として、引き続き「販売員のレベルアップに力を入れたい」という。


正の循環に導かれて成果は上がる

ーーバロックジャパンリミテッド社長の村井博之さん

 

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 ブランド事業部ごとの組織を廃止、地域内でブランドを横串する体制に変更した。ブランドの主対象の年齢に縛られず、販売職が長く働きやすくするためでもあった。「適切なタイミングで後輩にポストを譲り、自身は次のポストに行くという人事の仕組みにするため、計画的に次々とポストを作っている」。これが正の循環で、「大きくなる会社は、それがちゃんとできている」。


完全なものはつまらない

ーー「ランバン」のメンズのディレクターのルカ・オッセンドライバーさん

 

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 06年から現職。登場以来、パリ・メンズのファッションシーンの真ん中に座ってきた。「全てを完全に作らないことが美しいと思えるポイント。いつもそれを心がけている」という。

今、インスタで紹介しないのは、在庫があるのに商品を店頭に出していないのと同じこと

ーーユナイテッドアローズ&サンズディレクターの小木基史さん

 

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 「日本だけなら少子高齢化だが、海外も含めれば、ファッションに関心の強い若い層はむしろ増えていて、そういう人たちがSNS(交流サイト)を使って&サンズのことを知ってくれるようになった」という。「世界に通用する、新しいセレクトショップ」を目指し、発信に磨きをかける。


十年樹木、百年樹人

ーーグンゼ社長の児玉和さん

 人材育成の考え方について、中国の故事を引いた。「木を育てるのは十年、人を育てるのは百年」という意味だ。社長就任以来、ブランドや人材など、「無形資産」の充実に注力、今後も地道に人材を育成することの重要性を強調した。


中途半端に転んだら終わり

ーージーユー社長の柚木治さん

 「低価格とマストレンド提案」で市場をリードする存在になった。さらなる高みを目指し、ロンドンにR&Dセンターを設置した。「世界の情報やアイデア+日本アイデア=ジーユーへ。日本に座っていてはダメ」。


できることを徹底的にやって絆を深めれば、浮気をしないのが中国のお国柄

ーー伊勢丹新宿本店外国顧客マネージャーの中野啓史さん

 〝爆買い〟と言われた中国人客の買い物の様子が変わってきた。しかし、「中国人客との絆を作ることがリピーター獲得につながる」と話す。

関連記事:中国人客との絆


日本文化は世界にとって重要な価値を持つ

ーーシーナリーインターナショナル代表の齋藤峰明さん

 昨年、仏エルメス・インターナショナル上級副社長を辞し、「日本の新しいライフスタイルの創出と世界への発信」を目的に、新たな会社を立ち上げた。フランスでは「貴族的な品格を持つ人は次第に物質から離れていく」という。むしろ、物事の本質を追い求めるようになり、「それを追求するエルメスは日本の企業文化とよく似ている」と話す。


2㌔の至近距離でも検討する

ーーしまむら社長の野中正人さん

 グループで2000店を超えた同社だが、今期もさらに「積極出店を継続し業容を拡大する」。かつては郊外の単独店が中心で、自社グループ内で競合しないよう、店舗間の距離は保っていた。しかし、最近は人口の多い都市部のSCに入る店を増やしており、出店形態が違えば成立する可能性があるとみている。


子供を育てるのと一緒

ーーベイクルーズグループのラクラスコンセプターの佐藤恵さん

 

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 リブランディングの成功が話題の「ドゥーズィエムクラス」。新しい店作りも進む背景には、人材の層の厚さもありそうだ。佐藤さんは「会社でも若いスタッフに経験させて、失敗させないと、責任感もやる気も芽生えない。自分でやらないと達成感も感じない」とした上で、「若いスタッフは常に育てていかないと」と話す。

関連記事:売れない時代に売れる企業の共通点


一言で表すと個性だ

ーーオンワード樫山社長の馬場昭典さん

 

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 16年2月期を振り返って、「個性がないと、物も成り立たないし、店頭も成り立たない」と話す。その個性をさらに探れば、 「キーワードはパーソナル、アイデンティティー、キャラクター」とし、今期からの中期経営計画では、「キャラクターがはっきりしている『ジョゼフ』『トッカ』などを伸ばしたい」考えだ。

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照明がともっている店を見ると気持ちが明るくなるから、多少無理してでも開けたかった

ーー地震で被災した熊本市内の専門店モーヴ

 4月14日、突然の地震に見舞われた熊本県。その後も余震が続いたが、20日ころから従業員の安否確認や店内の整理が一通り終わった路面専門店のシャッターが上がり始めた。共通するのは復興へ向け、皆の気持ちが少しでも前向きになるようにとの思い。街が落ち着きを取り戻した先に、「人の心を豊かにできるファッションの出番が来る」(ベイブルック)との声も聞かれた。

関連記事:熊本地震 ファッションの出番を信じて


なんとかしてこれまでの恩返しがしたいという気持ち

ーーエスティーカンパニー社長の環敏夫さん

 

エスティー環社長

 群馬県桐生市の専門店、「ペニーレイン」などを運営する。新進デザイナーの発掘や育成に意欲的なことで知られ、他の専門店から相談されることも多い。しかし、「普通のことしかやっていないから、他の店もちょっとの努力だけで生き残れる」と話す。今、業界全体は苦しいが、「明るい未来がある」と語る。

関連記事:販売員を元気に

「何か面白いことをいつもやっている会社」と思われ続けることが理想

ーービームス社長の設楽洋さん

 

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 東京・新宿の「ビームスジャパン」を改装した。創業40年で培った「目利き」の力をファッション以外の分野にも広げた。「金も時間もかけた。それに見合う売り上げが取れるか、今の段階では分からない」が、世界へ発信するための重要な拠点だ。


重要なのは現場です

ーーフルラ・ジャパン社長の倉田浩美さん

 バッグの「フルラ」は日本の売上高が15年度、100億円を突破した。世界でトップだ。急成長の理由は、「最終的に、人」と話す。「人と人のつながり、楽しく仕事ができる働きやすい環境、それこそが大切」として、全販売スタッフの正社員化や時短勤務の充実など、勤務制度の改革でも注目されている。


 顧客を知ることはとても興味のあること

ーーデザイナーのメアリー・カトランズさん

 

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 そのパワフルさと繊細な手仕事で、16~17年秋冬コレクションで最も脚光を浴びたデザイナーの1人だ。09年春夏にデビューし、現在は58カ国300店以上で販売されている。「コレクションは常にパーソナルなものであるべき」と話す。


モノを買うだけならスマートフォンを通じた方が便利で安い

ーーカルチュア・コンビニエンス・クラブ社長兼CEO=最高経営責任者=の増田宗昭さん

 創業の地、大阪・枚方市に「枚方Tサイト」を開いた。人がモノを買わなくなると、「1日3回の食事が楽しくなれば、人生が豊かになるという価値観や〝関係性消費〟は大きくなる」と話す。「誰かのために作る、家族や友人と食事する時間を大事にする、おいしいものを贈るといった関係性消費に対応できる〝百貨店〟」を目指す。


服は、それを着る場所に根付く文化と結びついたものでなければ売れない

ーーファーストリテイリング・プレジデント・オブ・グローバル・クリエイティブのジョン・C・ジェイさん

 

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 ファーストリテイリングの「新しい産業を作る」構想を実現へ導く。「常に〝なぜ〟を社内で問うてきた。なぜその人が今それを着ているのか、どうしてそれを着て魅力的なのか。我々がそれを作るならどうして作るべきなのか、背景にあるものを考える姿勢が社内に醸成されてきたと自負している」と話す。


感無量の思い

ーー鶴屋百貨店社長の久我彰登さん

 4月の熊本地震で被災、全4館の営業再開にようやくこぎつけた。「ここまで来られたのも同業他社や取引先、株主の支援、復旧を急いでくれた工事業者、顧客からの多くの励まし、被災者も多い中で復旧に取り組んでくれた全従業員のおかげ。同業百貨店各社はじめ皆さんの支援には感謝しかない」と話した。


同じ柄は一緒に頑張ろうの印

ーーデザイナーの西村直樹さん

 病気療養中の子供のための医療服を企画・開発している。自身も障害者手帳を持ち、「ニッチな市場かもしれないが、突き動かされた。社会貢献の意味も込めて小児医療服を作っていきたい」と話す。自然のモチーフをカラフルなテキスタイルに載せた、楽しいデザインが特徴だ。

関連記事:病気の子を応援したい、小児医療服登場


ブランドや百貨店の将来を考えると、人が中心

ーー日本プロフェッショナル販売員協会理事長で、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン・ジャパン代表取締役のエマニュエル・プラットさん 

 

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 6月1日、日本プロフェッショナル販売員協会(JASPA)が設立された。理事長を引き受けたのは、「以前から業界に貢献する必要性を感じており、協会設立の相談がいいアイデアだと思ったため」だ。今後、ファッション業界のEC化率が上がっても、「高度な接客を必要とする売り場は必ず残る」と話す。

関連記事:《ずばり聞く》販売職を取り巻く環境


苦悩は栄養

ーー「ソマルタ」デザイナーの廣川玉枝さん

 

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 本紙の人気ページ「FBプロフェッショナルへの道」で、業界の若手に向けて語った。「悩むから次に行ける。常に修行のようだが、そういう中で、いい人にめぐり会えてきたことに感謝している」という。プロとして仕事をするには、「チームワークが欠かせない。様々なつながりを、しっかり意識して」と助言する。

店頭視点から本部を動かすような店にしていきたい

ーーHビューティ&ユース店長の清水学さん

 

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 「世界にも通じる、大人に響くセレクトショップ」として、ユナイテッドアローズが立ち上げた新店の店長を任された。お仕着せの接客はしないのが基本。スタッフに対し、「遠慮なく、品揃えに意見していいと言っている」という。


データで作った服は当たらない

ーーバロックジャパンリミテッド社長の村井博之さん

 日本は流行に乗りやすく、市場の同質化が続く。「それが消費者の購買意欲をそいでいる」との見方。「大人がデータをもとに色々と考えるよりも、カルチャーなどにも精通した若いスタッフが自分の着たいものを出す方がバロックらしい。そういった商品の方が売れる」と話す。


旬は常に新しい旬に凌駕(りょうが)される

ーービームス社長の設楽洋さん

 流行の店が頂点を極めては消えていく光景を見つつ、創業40周年を迎えた。「我々がほぼ同じ位置で商売を続けられてきたのは、ある意味、奇跡に近い」。モノも情報もあふれる時代に入ったが、「その整理屋が必要。何億とある商品から良いモノを絞り込んで選んで提示することが新たなセレクトの役割」と話す。


社員とあまり距離がなく、同じ目線でいられる点が僕の強み

ーーエイ・ネット社長の大滝雄一郎さん

 

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 10月に創業20年を迎える同社で、7月1日に新社長となった。まだ40歳。会社の原動力は「社員の熱量」と話す。「心が躍るモノ、コトを」というビジョンを掲げ、「実現のためには、まずは社員が仕事を楽しむこと。僕の役割は社員の創造性を引き出すこと」と話し、全国を飛び回っている。

関連記事:エイ・ネット新社長「創造性と挑戦」


組織作りは、対外的な評価を得なければ、自己満足で終わってしまう

ーーブランシェス社長の坂入良久さん

 イオングループ企業約70社を対象に第三者機関が行う従業員意識調査で、13年度が2位、14、15年度は1位。「好成績に驚いたが、社長の通信簿のようなもので、うれしかった」。密なコミュニケーションを基盤に、「規則を整えるより、出産を機に何となく辞めなければいけない雰囲気を払拭」するなど、「従業員が働きやすく、満足度の高い会社」作りを進めている。


様々な思いを内包し、ロマンティックだと感じさせる作品は、まず日本人のもの

ーーイッツ‐インターナショナル・タレント・サポートの創設者でディレクターのバルバラ・フランキンさん

 

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 毎年、イタリア・トリエステで開かれるデザイナーコンクール。今年も世界中から1000近い応募があった。日本人の作品は、「特別に一対一の親密な対話をしているような印象」と話す。「全ての思いを込めた心の琴線に触れる深いストーリーが読み取れる」と、繊細な特徴について語る一方、語学力が課題と指摘する。


結果は2勝8敗。でも1勝すれば、8敗を誰も責めたりしない

ーー静岡市の専門店、ナーレンシフ代表の大西祐介さん

 

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 新進のデザイナーブランドを販売する個店だが、先見性と提案力が評価される。「情報を得て、チャレンジすること」で道を切り開いてきた。「私たちは24時間ずっとファッションのこと、店のことを考えることができる。才能も資金もセンスもない中でやっている以上、差となるのは、人の違いになると確信している」と話す。

関連記事:ファッション販売は人間力☆


縫製業は日々変化が生まれる魅力的な業種

ーークリスメイド社長の栗栖弘美さん

 若手デザイナーの育成も意識する縫製会社だ。「企業としての運営ができるようにアドバイス」している。若手デザイナーブランドが成長し、同社の小規模生産ロットに合わなくなり、「他の工場へと発注先を移す、〝卒業〟を迎えてくれることを望んでいる」と話す。

関連記事:縫製はクリエイティブ


新規で10ぐらいの種まきをして、そのうち5つを成功させたい

ーー東海染工社長の八代芳明さん

 積極的に海外事業を進めている。「苦労も多いが、軌道に乗ればどれも成長が期待できる。ダイナミックに成長、変化するアジアを伸ばしていきたい」からだ。その戦力が、海外を経験した若手人材。入社4年で海外の新規プロジェクトの専属担当に就くケースなど、「グローバル人材の育成、若手のモチベーション向上につながっている」と話す。

流されることなく、リアルなアプローチを心がけたい

ーーロンドンの注目ブランド「マルケス・アルメイダ」のデザイナー、マルタ・マルケスさんとパウロ・アルメイダさん

 

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 今後の活躍に期待がかかる若手ブランドの筆頭。90年代グランジを引っさげて、11年にデビューした。シグネチャーは切りっぱなしのデニムだ。「モデルも、半分は友人や顧客などの素人。女性たちは今、ショールックではなく、ワードローブを求めていると思う」と話す。

関連記事:次世代ロンドン、80年代生まれの才能1


アイデア次第でどんな形でもできる

ーーブライダルデザイナーの桂由美さん

 アニバーサリーを切り口にした新しい需要喚起の必要性を提唱してきた。記念日とは、クリスマスなどの年間行事のほか、「誕生日や結婚記念日、プロポーズ記念日、ファーストデートの記念日など、個人個人に様々なものがある。アニバーサリーウェディングも、百人百様で良い」と話す。


自分のミッションを見付けてほしい

ーーアルペン専務の水野敦之専務

 昨年8月、女性活躍推進プロジェクトを立ち上げて1年。「女性管理職10倍以上、女性店長50人登用」などの中期目標も掲げるなか、初めて開いた社内イベントで「何のために働くのか。顧客や自分のために仕事をしてほしい。女性の力で新しいアルペンを一緒に作ろう」と語った。

関連記事:アルペンの女性活躍推進プロジェクト


みんなの強いところを伸ばすのが私の仕事

ーーケイト・スペードジャパン社長の柳澤綾子さん

 

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 堅調な売り上げの続くモデレートゾーンのバッグブランドを代表する一つだ。顧客の満足度はもちろん、従業員の満足度高める努力を欠かさない。「お客様と触れ合うことで化学反応が起こる」として、「一人ひとりが自分の仕事に集中できるように」会社の仕組みの改善を続けている。


職人が自身の仕事を恥じていた

ーー「ブルネロ・クチネリ」の創設者でCEO=最高経営責任者のブルネロ・クチネリさん

 カシミヤを中心とするラグジュアリーブランドだが、拠点は今も故郷のイタリア・ソロメオ村だ。職人が質の高い生活を送るための職場環境を築き、グローバルに販売できる上質な商品作りで「都会よりも豊かな田舎」を誇る。「消費するだけの生活は続けられないということはもう、皆わかっているはず」と言い、〝現代的な資本主義〟の実践を呼びかける。


質問は、いつも「あなたの店のお客は誰ですか」

ーーねぎらいカンパニー代表の兼重日奈子さん

 小売りの現場の疲弊が続く。その課題を考える座談会の中で、「答えが本部からの『指示書』になっていて、自分で考えない」現状を指摘した。本質的な質問を繰り返し、「自分で考える力」を養うことが重要という。座談会は、レックス代表の藤永幸一さん、ソリッソ社長の森下公雄さんが参加した。


流行ではなくお客様を見るようにしないと

ーーノーリーズ社長の山田則幸さん

 

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 35周年を迎えるセレクトショップ。競合は激しいが、「その中でも商品を買ってもらえることに感謝しなければ」と話す。「売れている商品の情報が一緒だと同質化してしまう」ため、顧客を見つめ、「ずっと〝普通の店〟でいたい」という。


ファッションシーンとしては世界も東京も一つ

ーー「ファセッタズム」デザイナーの落合宏理さん

 

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 海外市場に乗り出す日本人デザイナーの先頭集団を走る。17年春夏からパリでショーを開始、「日本から世界に出て行くのはハードルが高いって勝手に思っていた」と気づいた。「自分の周りの〝東京〟を表現でき、世界に対してちゃんと見せることができるなら、世界が相手でも響く」と話す。

関連記事:世界との間に壁は無かったと気付いた 「ファセッタズム」落合宏理


もっと強くしたい

ーーしまむら社長の野中正人さん

 「再来年かその先くらいからは年間100店出店したい」ときっぱり。業界では、退店の話題の方が目立つが、「出店するチャンスはある」と見て、国内の店舗網の拡大を加速する。人口密度が低く、これまでなら回避してきた立地にも出る考えだ。


次の10年でブランドと会社を全て作り変える

ーージーユー社長の柚木治さん

 スタートから10年。「順調にきたが、日本発のファストファッションという誰も手を付けていなかったニーズをうまく捉えたに過ぎない」と分析する。「ここで満足して2000億円、3000億円で終わっては普通の会社」と話す。今後は「低価格で最旬ファッションを幅広く提供する」機能を両立、売上高1兆円の達成を狙う。

関連記事:GU、10年で売上1878億円に成長


ファッションは人を感激させる仕事

ーー中村デザインスタジオ社長の中村宏美さん

 「何かに感激したことのある人が作る商品は、きっと誰かを感激させることができる」。そんな思いで、ファッション企業を対象に、アートに関するイベントやセミナーを行っている。ファッション商品には、「何かのまねや再現ではなく、全く新しいものを生み出すには、新しい発想が必要」。続けているのは、奥深いアートの世界を楽しく鑑賞するサポートだ。

ゴミみたいな服は作れないっていう責任が俺にはある

ーー「サルバム」デザイナーの藤田哲平さん

 

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 ファッションを作るのではなく、「服を作って、それをファッションに持っていく」。正統派モードの道を歩んできただけに、服作りは遊びのようにはできず、「めちゃくちゃ苦しいこと」と話す。しかし、「こっちだろって見せ続けないといけない」。

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実は良いタイミングなのでは

ーールック社長の多田和洋さん

 10年ぶりのナショナルブランドとして婦人服「フィラージュ」を投入する。百貨店市場は厳しいままだが、「再来年になれば良くなるというわけでもないでしょう」という見方。多くのブランド撤退も相次ぐなか、「この機会を逃すと婦人服の売り場がもっと縮小してしまうかもしれない。だからこそ今、やっておくべき」と話す。


本気の姿勢を示せば、必ずお客様はまた来てくださる

ーー西宮阪急「トゥールナージュ」店長の鈴木直美さん

 自主編集売り場「トゥールナージュ」が増収を続けている。個店専門店のように、地元客に寄り添う姿勢への支持が厚い。「体調が優れなくても、プライベートで悲しいことがあっても、店頭では毎日笑顔でモチベーションを保ち続けるのが販売員の仕事。ミスがほとんどないことが、うちのスタッフがプロ意識を持って仕事に臨んでいる表れ」と話す。


値下げしてユニクロさんに勝てるセレクトなどない

ーーシップス社長の三浦義哲さん

 市況の悪さは構造不況が原因と見るが、「それを乗り切るには、自社のお客様に対する誠実さが大事」と話す。価格を引き下げて需要を喚起するより、価格はそのままで「付加価値の高い感度のある商品を、仕入れでもオリジナルでも提供すること」を重視する。

関連記事:シップス社長「消費不振は構造的問題」

 

売れるか売れないかは、すてきな洋服かどうかだけ

ーー東神開発営業企画部MDグループグループ長の清瀨和美さん

 婦人服市場の不振が続くが、「洋服はちゃんとやれば売れる」と話す。今は「すてきじゃない服が多いので、売れていないように見えるだけ」。これからは「服そのものの魅力に加え、この会社だから応援したいという気持ちでお金を払う人が増える」と感じているという。


常に30%はチャレンジをすること

ーーフレンズ社長、希船工房ファッションディビジョン統括の川守英昭さん

 芸能プロダクションのアミューズと、ルールパートナーズの共同出資会社の希船工房で、ファッション事業を引っ張る。ビジネスについて、「100%で安心してやれることだけをやり続けていては、ジリ貧になるだけ」と語る。ただ、仕事の意識は真逆。「30%でルーチンをこなし、70%を挑戦に充てる。自分自身がワクワクして、ストーリーが描けること」を大切にしているという。

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