英国EU離脱、市民の不満が予想覆す

2016/06/28 12:19 更新


 【ロンドン=若月美奈通信員】国民投票によるEU(欧州連合)離脱が発表された24日の英国は、早朝から騒々しい1日となった。平均株価は3・15%下げとなり、08年のリーマンショック以来最大の1日の下げ率を記録。通貨ポンドは対ドルで1㌦=1・32?に急落し、1985年以来初めて10%を超える下落幅となった。キャメロン首相の辞任表明、イングランド銀行総裁による市場安定に向けた2500億ポンド以上の追加資金準備の発表、スコットランドの独立を問う再度の国民投票の検討などのニュースが立て続けに流れた。投票当日に発表された予測でも、残留が51%と離脱を上回っていただけに、驚きと戸惑いを隠せない。

 経済リスクに焦点を当てた残留派に対して、離脱派は移民問題を掲げていた。直前まで新聞各紙は様々な予測報道を行ったが、離脱の場合は航空運賃の大幅な値上げ、衣料・食料品のわずかな値上げの一方、住宅価格の大幅な値下げ、光熱費のわずかな値下げを予測する記事なども掲載され、有権者へ影響を与えたようだ。僅差ながら、経済産業界の常識が一般市民の不満に押し消された結果となり、民主主義の現実に直面した格好となった。

 全国12地区のうち、スコットランドと北アイルランド以外で残留が離脱を上回ったのはロンドン(59・9%)だけ。そのロンドン市内でも「離脱」のステッカーを貼ったタクシーが目につき、「英国政府は中産階級以上の高額所得者にとって有利な政策しかとっていない。今こそ抜本的な改革が必要」と離脱を支持する医療関係者の声も聞かれるなど、労働者たちの離脱を支持する声は大きかった。



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