1917年9月27日は、ドガが世を去った日です。フランス印象派の画家、エドガー・ドガは1834年7月19日にパリに生まれていますから、83年の人生だったことになります。
ドガに親しい気持を抱いていたのが、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック。彼は孤高の画家でもありました。ゴッホらを別にすれば、同時代の画家との交流はほとんどありませんでした。むしろ下町のキャバレーにたむろする市井の人々と交わった。でも、ドガだけは例外だったのです。ロートレックはドガの絵はとても大切にしていたそうです。
ロートレックが描いたポスターに「アンバサドールのアリスティード・ブリュアン」があります。黒いマントに赤いマフラー姿のアリスティード・ブリュアンの姿。ブリュアンは今でいうシンガーソングライターで、自作の歌を歌う。それがなんとも卑猥(ひわい)だった。
が、それが面白いというので、英国皇太子もお忍びで足を運んだという。彼がかぶっているのが「スラウチ・ハット」。黒い、ツバ広の帽子で、ブリムを軽く下げてかぶるのが特徴のものです。(服飾評論家・出石尚三)