《東レ経営研究所産業経済調査部長福田佳之の経済展望㊦》「もしトラ」が最大の懸念材料に

2024/04/04 11:00 更新有料会員限定


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依然回復鈍い中国

 24年度の世界経済で想定外だったのは中国と米国の経済動向だ。中国経済は22年12月のゼロコロナ政策の転換でコロナ感染の影響が収まる23年春以降には本格回復していくと見ていた。しかし、回復は限定的で、24年3月現在でも回復ペースは緩慢と言える。

 中国経済の回復が緩慢な理由は不動産問題がある。不動産市場が低迷しており、大手の不動産開発企業の経営不安がつきまとう。不動産取引の低調は関連消費を落ち込ませ、消費者マインドも冷え込んでいる。国民の中ではデフレの恐れと将来への不安感が生じている。また、不動産市場の低迷は、土地使用権の売却益に依存する地方財政を悪化させた。そのため、省政府による大型の景気刺激策を打てないだけでなく、年金や医療などの行政サービスの提供まで危ぶまれ、将来不安の増大を助長している。

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