《中国都市探訪》SHEINの拠点もある東莞 輸出企業は日本に活路を見いだす

2023/06/15 13:00 更新


夜はビル外壁に映し出されるLEDスクリーンがまぶしい

 東莞(とうかん)市は広東省の珠江三角洲東岸中心都市として栄える。人口は1043万人超で、広州市、深圳市、仏山市に次いでGRP(域内総生産)は省内4位。23年4月に上海~香港までの高速鉄道が開通し、東莞南駅も開業。華東・華南間への往来はいっそう便利になった。

 東莞の街並みも10年前と比べ大きく変わった。以前は東莞最大の展示会場周辺に、注目すべき建物はほとんどなかったが、今は高層ビルが立ち並び、夜はビル外壁に映し出されるLEDスクリーンがまぶしい。

 東莞は街ごとに異なる産業を抱えているのも特徴。ECファストファッション「シーイン」が同市拠点としているが、ファッション産業は虎門に集中し、卸市場の黄河ファッションシティーは有名。安いファンシーヤーン市場も近くの大朗にある。金属産業は長安町、電子加工製造業は塘厦町、家具は厚街町など様々だが、過去に東莞で最も有名だった産業は夜のサービス業だった。

 しかし、16年から国家は歓楽商売への取り締まりを強化し一掃。「おそらく国内で最も安全な場所の一つになった」と地元人は言うが、活気は失われ、さらにコロナ禍3年と中米摩擦で経済は大打撃を受けている。

 東莞企業は、米国輸出が期待薄なため、ウズベキスタン、カザフスタンなど中央アジア新興市場とともに、RCEP(地域的な包括的経済連携)の枠組みの下で日本や東南アジアへの開拓に活路を見いだしている。日本は欧米に比べ数量は望めないものの、取引が持続可能な市場として期待が高い。東莞ファッション団体も日本での複数展示会に参加する計画を立てていると東莞市経済関係者はいう。

 中国市場はいまだコロナ禍から回復途上にあり、起業家が投資を控える傾向にある。しかし、一般的に広東人は冒険心を持つといわれ、東莞の若い起業家もこの精神を持ち続けている。



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