デサントジャパンが本格稼働 国内事業の改革加速

2017/04/07 06:28 更新


 デサントが国内事業の改革を加速する。新設したデサントジャパンを通じ、国内事業の収益性向上に向けた取り組みを本格化。企業向け販売やアスレチック部門のアクセサリー強化など、新戦略も打ち出した。初代デサントジャパン社長に就いた三井久氏は「個別最適から全体最適へ」をテーマに、さらなる成長を目指す。

(杉江潤平)

 デサントは15年に社内組織を日本と海外に分け、意思決定の迅速化とエリアごとの収益化を進めてきた。日本ではこの間に体質改善が進み、適正な商品量でプロパー消化率を高めることに成功。前第3四半期(16年4~12月)における日本のセグメント別売上高と営業利益は、2期連続の増収増益となった。

 デサントジャパンでは、分社化によりこの流れを加速させる。引き続き、プロパー消化率の引き上げに努めながら、①メリハリある流通施策②アクセサリーの開発体制整備③チームビジネスの強化④コスト削減⑤働き方改革などを進める。

 流通施策では、販路・店舗別に保有ブランドを適正配置し、効率を高める。直営店出店は、社名ブランドの「デサント」と「ルコックスポルティフ」で積極化する。同時にスポーツ小売りチェーンや百貨店で、販売員を付けた自主管理売り場を拡大。中期的に直営店を含めた自主管理売り場の売り上げ構成比を50%程度まで増やすことでブランド認知を高め、卸売りビジネスでのブランド価値向上につなげる。

 新規流通として企業向け販売にも着目。4月1日付でスポーツマーケティング部内に「事業渉外課」を立ち上げ、ユニフォームなどの法人用ウェアの製造・販売を始め、需要を掘り起こす。

 バッグやキャップ、靴下などのアクセサリー強化に向けては、4月1日付でアスレチック部門に「アクセサリーMD課」を新設。同部門ではこれまでアクセサリー類をブランド別に手掛けていたが、これを一本化することで、効率化と商品開発力の向上を促す。現状、アスレチックブランドの売り上げに占めるアクセサリーの構成比は平均12~13%だが、ブランド全体の売り上げを伸ばしながら、20年度までに同比率を15~20%に高める。

 チームビジネスも拡販する。増強する奈良・吉野工場など自社4工場を活用した早期納品を強みに、野球やバレーボール、サッカーといったチーム受注を増やし、20年度までに16年度売り上げの30%増を目指す。

 一方でコスト削減や働き方改革による生産性向上にも挑む。商品原価率や広告・販促費、物流費などで聖域を設けず見直す。働き方では、会議時間の短縮や書類の削減など効率化を推進。評価制度についても、個人成績よりチームでの評価割合を増やし、部分最適より全体最適の視点で動ける仕組みを導入する。

直営店出店などで自主管理売り上げ比率を50%に高める(3月10日に新業態「ルコックスポルティフアヴァン」にリニューアルした原宿路面店)

社員も変わろう

 設立初年度に掲げたテーマは"変革"。分社化は私が会社に入って一番の変化だし、大きな変わり目。だからこそ「会社が変わるのはもちろん、社員自身も変わろう」と社内に呼びかけたい。この一環で、研修や社内制度も会社の成長に欠かせない"創造""挑戦"という創業の精神を意識した内容に見直す。

三井久デサントジャパン社長

 三井氏は、デサントに新卒で入社した生え抜き。08年取締役、12年に常務取締役となり、15年からはジャパンビジネスユニット管掌として分社化の下準備を進めてきた。数字を基に冷静・緻密(ちみつ)に物事を進める人物として知られる。62歳。




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