デサント上期 国内4年ぶり増収 

2016/11/24 06:42 更新


 スポーツ用品メーカー、デサントの国内事業が伸びている。このほど発表した第2四半期(4~9月)業績では、海外売り上げが為替の影響で売り上げを落とすなか、国内が4年ぶりの増収となった。その立役者となったのが、社名を冠する「デサント」ブランド。旗艦店でイメージを高めつつ、この間、大手スポーツ小売りチェーン内で増やしているインショップで売り上げを拡大した。アドバイザリー契約を結び、商品提供する大谷翔平選手の活躍も追い風となった。

 デサントブランドの国内での上期売り上げは49億円。前年同期比では17%増と、その伸び率は他ブランドを引き離す。同社がデサントブランドの拡大に寄与していると見るのが、15年から出店を始めた直営店業態「デサントブラン」の存在。

  スポーツブランドが考える心地良いライフスタイルを提案する業態で、現在国内では東京・丸の内、代官山、大阪、福岡の4カ所に店舗を構える。店内には国産の高品質ジャケットとして知られ、旧来から人気の「水沢ダウン」が並ぶが、今期はそれ以外のオルテライン商品も好調。足元の9、10月を見ても、既存店の売り上げは、前年同期比48%増。11月に入ってからは2倍近い伸びを示す。

 もう一つ増収に寄与したのが、「大谷効果」だ。同社は14年シーズンからアドバイザリー契約を結び、デサントブランドのトレーニングウェアを提供し、同選手の肖像を活用したプロモーションを進めてきた。16年3月からは大谷選手着用のモデルを専用コレクションとして発売。同選手の活躍とともに、ブランドの認知も改めて広がり、アスレチック商品が売れていった。

  そして、集客の受け皿となったのが、大手スポーツ小売りチェーン内に33カ所展開しているインショップ。同ブランドでは、この1年に20カ所で増床を伴う平場からのショップ化を進めており、ショップ展開する33店では売り上げが32%伸びた。

 今後もブランドイメージを打ち出すため、直営店の出店を進める方針。ただ、「日本全国にリテールショップを展開することはできない。卸・小売りそれぞれのビジネスに磨きをかけ、双方の店頭売り上げを上げることが大事。共存共栄を目指す」(三井久常務取締役ジャパンビジネスユニット管掌兼東京オフィス長)と強調する。

  同社はむしろ、デサントブランドで成果を得た直営店の開発・運営ノウハウを「ルコックスポルティフ」や「マンシングウェア」といった他のブランドに移植することに力点を置く。

 同社は17年4月から現デサントをグローバル本社と位置付け、本社機能と日本事業を分離する予定だ。日本事業については、今年8月末に設立した分割準備会社「デサントジャパン」に移管、国内の事業会社として再スタートを切る。

三井常務取締役
三井常務取締役

9月にオープンしたデサントブラン丸の内



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