都内百貨店の初売りは、そごう・西武が1日、三越伊勢丹や高島屋などが2日から始まった。全館クリアランスセールが一斉にスタートし、コロナ下で前年に控えていた集客イベントなどが一部で再開されて2年ぶりのにぎわいを取り戻した。年末商戦で「(伊勢丹新宿本店が)インバウンド(訪日外国人)を含めた19年度実績を上回った」(細谷敏幸三越伊勢丹社長)など、12月中旬からの売り上げ回復の流れが年明けに波及した。
(松浦治)
伊勢丹新宿本店は、開店前に前年比2倍の6500人が並び、初売りとクリアランスセールの一斉スタートで入店客が増えた。入店客数は西武池袋本店が6割増、三越日本橋本店、高島屋日本橋店は2~3割増となった。新型コロナウイルス感染者数が落ち着いたため、「家族連れでの来店で買い物を楽しむお客様が増えており、消費マインドの回復傾向が見られた」(伊勢丹新宿本店、西武池袋本店)と一時的に抑制されてきた反動によるペントアップ(繰り越し)需要が目立った。
店頭売り上げは4~6割増だった。福袋は「ECに前年の5割から7割にシフトした」(三越銀座店)ことで、店頭での販売を抑制しており、婦人衣料・雑貨、食品、リビングなどの福袋は午前中でほぼ完売した。
外出増や気温低下で防寒アイテムの売れ行きが良かった。婦人服はコート、セーターなどの動きが良く、「セール、プロパーにかかわらず欲しいアイテムを求めた結果としてプロパーが伸びた」(伊勢丹新宿本店)、「10万円以上のコートが動いた」(西武池袋本店)という。同様に紳士服はビジネスアイテムが良かった。通勤用途のコートをはじめ、ワイシャツや肌着のまとめ買いが目立った。雑貨類は「インターナショナルブティック、婦人靴、寝具、トラベル用品が1・5~2倍で目標値を上回った」(小田急百貨店新宿店)という。伊勢丹新宿本店は全館のプロパー売り上げが5割増で、セールの伸び率を上回った。
1月のセールは約2週間の短期集中型になる。プロパー販売の消化率が高かったため、12月の各ブランドによるプレセールは縮小しており、1月のセールの商品量は19年比で2~3割減の見通し。
春色冬素材のジャストシーズン企画、梅春物、モチベーション需要に対応した春物の投入が1月中旬から本格化する。セールを早めに切り上げ、2~3月に本格化する入卒のマザーニーズ、フレッシャーズなどオケージョン需要に集中し、店頭の鮮度、感度を高める。