【提言】百貨店の衣料品不振の陰に消化仕入れ取引 ウィンウィンの関係で活性化を

2019/07/29 06:26 更新


【新時代に生き残る百貨店の姿を探る】《提言》衣料品不振の陰に消化仕入れ取引 ウィンウィンの関係で活性化を

 衣料品の苦戦が続く中で、化粧品など伸張している分野を拡大し、衣料品売り場を縮小する動きが強まる一方、大手百貨店からはアパレルメーカーとの取引、取り組み方の見直しの声があがってきた。

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 「売り上げ減が続く中で、単なる値入れ率交渉では互いに疲弊する」(村田善郎髙島屋社長)ことになり、「この秋から主力のアパレルメーカー各社とは取り組み方について主要幹部同士で詰めた話し合いする」(杉江俊彦三越伊勢丹ホールディングス社長)という動きもある。

 大丸松坂屋百貨店が9月に新装オープンする大丸心斎橋店本館では、化粧品、ラグジュアリーなど一部の商品領域を除いてアパレル、食品などを基本的に定期賃貸借契約とする。「一定の売り上げを超えれば売り上げ歩合は下がるため、アパレルにとっても歓迎される」(好本達也大丸松坂屋百貨店社長)し、百貨店にとっては人件費抑制につながるという認識だ。

 現在の百貨店とアパレルの取引の主流は、委託から「進化」した消化仕入れだ。店舗運営コストが高い日本の百貨店の環境の中で、商品を一定のサイクルで入れ替えながら売れ筋を追求し回転を高めることで双方の収益を確保できる取引形態といえる。消化仕入れは、シーズン初めと始末期の間に中だるみを起こしやすい欧米で主流の買い取りよりも、百貨店の自主性という側面を除けば、衣料品が売れていた時代の日本のマーケットには適していた面もあった。

 しかし、不振が続く中、百貨店アパレルの原価率の低さはSPA(製造小売業)と比べて際立ち、追求すべき売れ筋が見えなくなった。在庫を減らしたいアパレルは追加発注などを受けずに、絞った商品を入れ替え、目先の新鮮さを打ち出しているように見える。

 地方百貨店では一見、商品が揃っているように見えてもサイズが揃わず、店頭で販売員が自社サイトで発注したり、展開後1週間もすると売れ筋は枯渇し、販売員の仕事はDM書きが中心になるという、文字通りショーウインドーと化している実例も出ている。

 同じ服を着ることを敬遠する生活者の傾向や、EC、2次流通の伸長の中で、今の取引形態は制度疲労を起こしている可能性もあるのではないか。

 大丸心斎橋店の取り組みだけが解決方法ではないとは思うが、ECにも対抗し得るリアル店舗での取引のあり方を真剣に考える時期にきている。

 互いのリスクを明確にして依存しないウィンウィンの取引と顧客ニーズを具現化する双方の協力が必要だ。


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