ハンドメイドの体験サイトやワークショップを運営するクラフティ(東京)が、今年7月から始めた手芸のサブスクリプション(定額課金)サービス「クラフティ・ホームボックス」が人気を集めている。家で過ごす時間が増える中、部屋をおしゃれに彩りたい女性が契約。送料込みで3400円という価格に加え、手作りへの関心が高い層に製作難度のハードルを下げた点が受けたと見ている。康瑛琴(カンヨングン)CEO=最高経営責任者は、「近い将来、数万人規模にまで拡大したい」としている。
(永松浩介)
ちょうどいい難易度で
同社は、20年9月にハンドメイドキット販売のサービス「クラフティホーム」を開始していた。今回のサブスクリプションサービスは、契約すれば自動更新で毎月末に届くもの。8月配送の第1弾は夏のグリーンを楽しむマクラメハンギングとコースターで受け付け締め切り前に完売したという。11月には紅白水引の正月飾り、12月はクリスマスのリースだ。ファッション同様、毎月衣替えする感覚で手作りを楽しんでもらうのがコンセプトで、現在の会員数は数千人規模。専業主婦の趣味ではなく、インテリア小物を自作する有職女性がターゲットで過半を占める。
「買うよりおしゃれ」を目指しており、商品企画には時間をかける。「圧倒的に簡単にした」(康さん)が、簡単過ぎてもだめで、社内でスタッフが試作を繰り返し、ちょうどいい難易度にもっていく。簡単にしたのは、年齢層が高いこれまでの手芸の世界は難易度が高く、初心者が入りにくくなっているから。クラフティのキットを案内役に手芸市場のパイを広げたいという思いがある。
コト、時間のサブスク
オンライン上には「ウェブレシピ」があるので、いつでも参照できる。一般化した言葉である〝丁寧な暮らし〟に映える商品にしており、SNSの投稿にも有用だ。現在は生産の上限数を設けているため、毎回ほぼ完売が続くが、今後は契約者数の伸びに応じて発注を増やしていく。
ユーザーは30代が全体の4割を占め、ほぼ100%が女性だ。手芸が目的というより、室内環境をもっとおしゃれにしたいという声が多い。実際は商品を提供しているが、「本質はモノではなく、コト、時間のサブスク」と康さん。個々人が作るだけでなく、「人と作りたい」という声もあり、今後は横のつながりを形成できるサービスの提供も検討する。