今回も消費増税前の駆け込み需要と、その反動が見られました。以前の増税時と同様に一部
メディアや経済コメンテーターは「不要不急の消費が優先された」と分析していました。
確かにファッション商品はタンス在庫が満杯で、その意味ではすでに20年以上前から不要
不急品ではないといえます。しかし、ファッションはお金が余ったから買うものなのでしょうか。
そもそも経済先進国における消費や購入行動は明るい気分や時代感を取り込みたい、生きている
実感や満足感を味わいたいのがメインです。同様に食生活でも、食べるものがない時期と、市場
経済が成長して健康や満足感を重視される時期では消費の意味合いが違うのです。
つまり、強い経済、豊かな市場こそ、ファッション市場が伸びる条件があるのです。それは
文化、カルチャーが花開く時代なのです。食やファッションがいつまでも景気に左右される存在
にとどまっている市場は、経済が強くても豊かとは言えないのです。
株価や景気の変動、物価の上昇に血眼になる人ではなく、格好良いファッションやおいしい
料理に命をかける人を増やすことに作り手や売り手が意欲的に、本気になって挑むこと。それが
21世紀型の産業にファッションビジネスが転換していくことなのです。でないと、人口減少や
高齢社会などの課題を乗り越えていくことは不可能ですし、消費税が引き上げられるたびに右往
左往して産業としての脆弱さをぬぐうことはできないはずです。
生活者はハリのある暮らしを求めているのです。「2カ月前から準備して大きなモノから家電、
医薬品、化粧品、そして増税直前に食品やアパレルを購入した」などと涙ぐましい生活防衛に
走った主婦たちも、生活の中でワクワクドキドキが実感できる消費をしたいと思っているのです。
それに応えるように真正面から向き合う姿勢、それがファッションビジネスに今、必要と言えます。
JFW-IFF7月展をそんな場にしたいものです。
(2014/4/7 メールニュースコラムより)