ここのがっこう、富士吉田市内で受講生の展覧会 8会場で見応えある作品

2023/04/21 06:26 更新


 ここのがっこうと富士吉田定住センターは、山梨県富士吉田市で、ここのがっこうの22年の受講生の展覧会を4月23日まで開催している。3回目を迎えた同展覧会の目的は、東京から最も近い産地でデザイナーと物作りの現場をより近づけ、未来へと発展させること。古くから織物の産地として栄えてきた街に人を呼び込み、地域の活性化も担っている。

 発表の場は、メイン会場のフジムロを含めて合計8カ所。昨年は4カ所だったが、「地元の人たちも開催内容を理解するようになって、空間の提供依頼を好意的に受け入れてくれるようになった」と仲介する藤枝大裕さんは話す。旧ニコル喫茶店、洋装のつちや・隣、一品堂書店・隣、旧文化服装学院といった歴史を感じさせる建物の空間のほか、小室浅間神社や中央まちかど公園の屋外会場も加わり、出展者も来場者もレトロな街並みの魅力を知る機会となっている。

歴史を感じさせる旧文化服装学院の入り口
小室浅間神社には卒業生の作品を展示した
来場者はレトロな商店街を散策する楽しさを満喫した

 参加した生徒のうち、プライマリーコースの31人はファブカフェフジ&ワタトウビルでの合同展示となった。アドバンスドコース16人、マテリアル&マターコース20人は、会場が増えたことで一人が一つの部屋を使うことができた。スペースの限られた都内では難しいことだが、「雰囲気のある空間、個別に表現ができる環境に参加者の意欲の高さがうかがえ、数日前から泊まり込んで準備する生徒もいた」という。交通費も滞在費も自己負担で開催している。

スイッチを入れると生き物のようにムクムク動いて心が癒やされるアート
ビニールと天然素材など異なる質感を掛け合わせるテクスチャーで洋服のフォルムに
時間の経過を感じる空間に、人の手や体温、声を思い出しながら形にしたオブジェが佇む
地下室を使って、自分の声をアートにした作品

 表現の形は、洋服、テキスタイル、アクセサリー、オブジェ、写真、占いなど様々。それぞれに感じさせるのは、自分のルーツを見据えたテクスチャーの力強さだ。一例を挙げると、小樽出身の澁木智宏さんは、雪が街一面を覆う「なだらかなひとつづきの調和」が根底にあると捉え、古着などを白いフェルトのパンチングでつなぎ、雪に覆われたドレスのように見せた。

雪に覆われた景色の「なだらかなひとつづきの調和」を落とし込んだ

 美大で染色を学び、アニメーションの仕事に携わった村尾拓美さんは、生地に3Dプリンターで出力したパネルをつなぐ手法を生かし、思春期にはまったボーイズラブ文化の身体のフェチズムを表現した。

身体を覆うグラフィックデータを3Dプリンターで生地に出力してパネルを制作、それらをつないでウェアラブルな形に


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