「コオフクマスク」ワークショップ 障害者の悩みに応えてマスクをリデザイン

2020/08/06 10:58 更新


 8月1日、任意団体のコオフク(西村佳子代表)が進める障害のある人が抱えるおしゃれの悩みや課題を理解してリデザインするプログラム「コオフクマスク」の第1回ワークショップが開かれた。このマスクプロジェクトには、アダストリア、三陽商会、ワールドが参加している。今回のワークショップにはアダストリアとワールドが参加。一般公募参加者とデザイナーや商品企画担当者が課題ごとに6チームに分かれ、障害者からマスクでの悩みを出してもらい、新たなマスクのアイデアとデザインを考えた。次回22日までにはサンプルを提示し、商品化を進めていく。

(疋田優)

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 ワークショップでは、出された声をもとにマスクの方向性を考え、新たな商品開発につなげる。今秋には、障害者向けマスクの新しい形を提案する。

各地方から参加

 1日に開かれたワークショップは、コロナウイルス感染再拡大でオンラインでの開催となったため、東京・渋谷のアダストリア本部を基点に、ワールド東京オフィスでも行われた。これまで障害を持つ参加者は近隣在住に限られたが、今回は各地方からと多彩な参加となった。

ワークショップはアダストリア本部会場をメインに、オンラインで開いた

 マスクのリデザインの方向は「見えない、見えにくい」「つけられない、外しにくい」「マスクを外し、置く、しまうマスクケース」「息苦しさ」をテーマに設定し、約8人ずつ6チームに分かれての話し合いを1時間30分ほど行った。

 アダストリアからは「グローバルワーク」「ローリーズファーム」「ニコアンド」の生活雑貨商品企画担当者が、ワールドからは「アンビルドタケオキクチ」責任者、デザイナー、パタンナー、加えて障害者雇用の両社子会社メンバーも各チームに入って、話し合いは活発に進んだ。議論のまとめでは、参加企業の商品担当リーダーがリデザインの方向性をまとめて、簡単なデザイン画をオンラインでも披露した。

各チーム発表では、マスクのデザイン画も描いた。次回サンプルの期待が増す

ユニークな発想

 各チームから挙がった困りごとや課題は「表裏が分かる素材の肌触り」「外してもどこかに引っかかっている」「片手で着けられる」「口回りに接触せず少し浮かせる構造」「飲み物が飲める口が欲しい」など。それを受けてのアイデアとして「眼鏡のような耳かけタイプ」「頬で留められる」「あごに引っかかる」「片手でひも調節ができるアジャスター付き」など、ユニークな発想が披露された。

 次回8月22日には、サンプルを提案し、商品化への方向性、販売形態などを決めていく。

競合関係取り払い

 コオフクは16年にアパレル出身の有志で立ち上げた任意団体。これまでアダストリア、三陽商会、ワールドは個別プロジェクトに参画してきたが、今回は初めて同じプロジェクトに参加する。「ファッションの力でコロナ禍の状況を打破したい思いは3社とも同じ。競合関係を取り払い、ファッションに携わる企業として未来作りで協調したい」(アダストリア、ワールド広報)とする。特に課題が多いマスクで、生産背景を持つ3社の特徴が生きることや、互いに刺激を受けることも狙いだ。

ワールド東京オフィスでのオンラインワークショップ。障害者が描いた文字・数字をデザインしたシブヤフォントのプリント生地を画面で見せたりした


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