供給量の縮小続く かさむ生活費、ファッション購買にブレーキ
繊研新聞社が推定した15年の日本の衣料消費市場の規模は前年比2・6%増加した。各種統計から算出した市場への商品供給量は5・6%減少した。円安の進行などで服の平均価格も上昇した。一方、家計支出に占めるファッションへの支出も減少が続いている。過去10年の市場規模の変化を見ると、「服を買う余裕がない」消費者の増加もファッション消費不振の要因となっている状況が浮かび上がる。
金額ベースの市場規模は、小売業各団体の調査と繊研新聞社の独自調査の結果を元に算出した。15年は9兆6000億円で前年比2・6%増加した。5年連続で増加しており、10年前の水準まで回復した。市場への供給量は36億7000万点で5・6%減となり、ここ数年縮小傾向が続いている。
海外生産コスト高
供給と販売にタイミングのずれはあるものの、金額ベースの市場規模と供給数量のこの間の増減を見る限り、ファッションの価格は服に関しては上昇していることになる。金額と数量から割り出した衣料品の平均価格は6・6%上昇しており、10年前より8%値上がりしたことになる。
値上がりは供給の97%を占める海外生産コスト上昇が原因だ。14、15年は円安が極端に進み、商品調達コストはさらに上がった。実際、ユニクロや無印良品はこの時期値上げに踏み切っており、この2年は販売量の伸びだけではなく、商品単価の上昇も金額ベースの市場規模拡大の一因となったようだ。
支出総額は横ばい
一方、家計消費に占める「被服及び履物」への支出は10年前より1割減った。家計支出の総額はこの10年、1カ月30万円弱で横ばいが続いており、食費や光熱費、通信費などは増えている。つまり、他の生活コストがかさむようになったため、消費者は服を買うお金を節約したことになる。
15年の市場規模が金額ベースで増えた主要因は、市場の過半を占める専門店の売上高上位企業が軒並み増収だったことだ。ただ、その後、コスト上昇分を転嫁した値上げが相次ぐと、昨年後半から売れ行きが低迷し始めた。各社とも今年に入り、価格を再度値下げしたが、消費の停滞は続いている。
ファッション業界は、この10年価格を引き下げ、消費者の購買意欲を喚起してきた。だが、調達コスト上昇に伴い、それも限界にきたのに、消費者の可処分所得は増えないまま、生活コストは上昇している。ここ数年のファッション消費の低迷は「買いたい服がない」という選択肢の問題だけではないようだ。