GW真っ只中の5月4~6日、東京・丸の内で開催されていたクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」。
1995年、フランス西部の港町ナントで誕生して以来、そのユニークなコンセプトが人気を博し、2000年からポルトガルのリスボン、2002年からはスペインのビルバオへと広がり、そして2005年からは東京国際フォーラムを舞台に、幅広い世代の人々が楽しめる「丸の内のゴールデンウィークの風物詩」として毎年恒例のイベントとなっている。
やはりその最たる魅力は、世界で活躍するアーティストによる一流の音楽を1公演約45分という程よい時間、また手ごろな価格(東京では今年1500円~)で楽しめる点ではないかなと思う。
一方、近隣のアジアの人気都市、香港でも25周年を迎えたフランス文化をテーマとするアート・フェスティバル「ル・フレンチ・メイ(Le French May)」が開催中だ。
音楽や映画、展覧会、グルメなど幅広いジャンルのイベントが約2か月にわたり、街を訪れる人々を楽しませてくれるとあり、私もチラリと訪れてみた。
最たる目的の一つでもあったLOUIS VUITTONの「Time capsule exhibition Hong Kong」(写真)。フィナーレの当日(5月14日)ギリギリに到着という、なんとも私らしい「香港スタイル」(笑)で鑑賞!
タイトルからも推測できるように、当メゾンの過去、現在、そして未来を予感させるタイムマシンの旅的コレクションの展示かと思いきや…
常に最新の技術とワクワク感をもって時代の空気をつかむことを得意とするメゾンらしく、香港の夜空を彩るギネス認定レーザーショー「シンフォニー オブ ライツ」を連想させる躍動感と共鳴しているかのようにも思えたのは、きっと私だけではないような…
また一方、香港シティーホールの展示ホールにて5月29日まで開催中のニコラ・ビュフ「THE DREAM OF POLIFILO」も機会があれば是非!
幼少期にTVで観た日本のポップカルチャーの影響を受け、日本語や文化を学び、遂には2007年より東京を拠点に活躍中のフランス人アーティストである彼の作品は、心憎い愛おしさを存分に発揮し、子供から大人まで国籍問わず幅広い層の来場者を魅了している。(写真)。
ちなみに「エルメス」や「ピエール・エルメ・パリ」他とのコラボなどで、すでにご覧になっている方も多いと思うのだが、とりわけ本展では時にビデオゲームやアニメの世界に迷い込んだような(?)感のする展示構成が、小さなテーマパークを旅する気分へと誘ってくれそう。
そして、CINEMATIC JOURNEYらしい話題として、やはり映画はmust♥
数多あるフランス映画の中から厳選して紹介する、キュレーターとしての役割を今回担ったのは、日本のTVCMにも登場したことのある女優カリーナ・ラム。
たとえば間もなく日本での公開も予定されている、ジョニー・デップを父に、ヴァネッサ・パラディを母に持つリリー=ローズ・デップが出演する『ザ・ダンサー』もその一つ。
パリ・オペラ座で踊る夢をかなえた実在のダンサーにしてモダンダンスの祖、またロートレック、ロダン、コクトー等のミューズとしての顔を持ち、さらに女性の社会進出をかなえた、ロイ・フラーの実話。ミュージシャンとしても活躍するヒロイン役のソーコ(下記写真左)と共に、ライバルのダンサー、イサドラ・ダンカン役を演じ切るのがリリー(下記写真中央)。
ちなみにご存じの方も多々おいでかとは思うのですが、彼女は昨年より「シャネル N°5 ロー(N°5 L'EAU)」のミューズとしても活躍する、今まさに要注目の輝ける新星の1人☆
『ザ・ダンサー』
6月3日、新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマほか全国公開
© 2016 LES PRODUCTIONS DU TRESOR - WILD BUNCH - ORANGE STUDIO - LES FILMS DU FLEUVE - SIRENA FILM
というわけで、5月のCINEMATIC JOURNEYは、「フランス×ファッション×香港」を隠し味にそろそろtake off✈
まずは前述の出演者のバイオにもその名が登場した「シャネル」。
フランス、パリ生まれのオリヴィエ・アサイヤス監督の新作『パーソナル・ショッパー』では、「特別協力」というクレジット付きの関係にある。
ちなみに、上の写真のクリスティン・スチュワート演じるヒロインがまとっている衣装が「シャネル」!
実は彼女もまたリリー同様、シャネルの広告に登場している女優の一人で、なおかつブランドのアンバサダーも務めており、さらにまた新しい香水の顔として登場予定とか。
さて、すでに公開がスタートしている作品に関しては、あえて私がご説明することもないので、スキップさせていただくとして、内容について少しばかり…
パリを拠点に、多忙極めるセレブリティに代わり、服やアクセサリーなどトータルコーディネートし、買い付けて届けるという仕事をフリーランスで受けているヒロイン。彼女の変化していく心模様を、アサイヤス監督独自の鋭い視線による重層的描写と主演のクリスティンとのチームプレーで、観る者それぞれの感情に訴えかける。
シャネルはもとよりカルティエやクリスチャン ルブタンといったラグジュアリーブランドのまばゆい商品が多々登場する中、黒いラコステのポロシャツをまとうクリスティンの姿がとてもクール&スマートに記憶している。果たしてみなさんは本作にどんな印象を抱くのだろう?
5月12日(金)、TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国公開中
©2016 CG Cinema - VORTEX SUTRA - DETAILFILM - SIRENA FILM - ARTE France CINEMA - ARTE Deutschland / WDR
さて5月も終わりに近くなってくると、すでに構想中の6月のイメージがクリアーになって来る。
そのキーワードの一つが「香港」。
一般的に「6月=結婚」というイメージが定着する中、果たして「CINEMATIC JOURNEY」的香港とは?
乞うご期待★★★
HIROKO USAMI
東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中