新型コロナウイルスとの共存が続く中、業界は反転攻勢に向けてどんな手を打ち、マーケットをどう拡大すべきか。キャンプに特化した大型専門店「アルペンアウトドアーズ」(AOD)を運営する水野敦之アルペン社長と、日本で「ザ・ノース・フェイス」(TNF)を成長させた渡辺貴生ゴールドウイン社長が語り合った。
(聞き手・構成は杉江潤平)
コロナ前に戻らず
――営業再開店舗が増えた6月1日以降の状況は。
渡辺 TNF直営店の大半は、約2カ月ぶりに再開しました。都心店の外国人客需要はほぼゼロですが、ご来店客の購入意欲は高く、店頭売り上げは回復傾向にあります。
水野 アルペン全体として復調しています。アウトドアも徐々に客足が戻ってきていますが、県をまたぐ長距離移動の自粛は続いており、宿泊を伴うキャンプの需要はコロナ前の水準に戻っていません。
――ウィズ・コロナの時代に、製品の作り方・売り方で重要なことは。
渡辺 コロナ禍で皆さんが実感したのは、「一番安心して時間を過ごせるのは家族」ということでは。感染症予防のためにも、今後は家族での外出やキャンプが増えると予想します。こうした需要に応えられる製品開発をしていく必要があります。販売面では、ECでも購入しやすい環境の整備が重要。今まさに当社のECプラットフォームを整備している最中で、今後は直営店舗との連携をさらに強めます。
水野 今後、キャンプやハイキングといった健康的なアウトドアアクティビティーへのニーズが高まるでしょう。安全性を考慮したうえで、魅力的な商品やコンテンツを拡充し、お客様が安心してフィールドへ出かけたり、家で楽しめたりできるサポートをしていきます。
イメージを貫く
――近年のキャンプの盛り上がりをどう見ますか。
渡辺 30年前の第1次ブームに比べ、ギアにこだわるおしゃれなキャンパーが増えたと感じます。意識も変わりました。以前はホームセンターで安く買え、簡単に設営できるものを使う人が多く、使い終わった道具をフィールドに捨てたり、湖や川で洗ったりする人がいましたが、今はそういう人はいません。良い物を買い、長く使う人が多く、キャンプに行く頻度も高いですね。
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