事業承継と世界旅行⑪ 「物としての力」と「文化」は二つで一つ

2024/08/20 13:00 更新


日本文化に支えられ会津木綿の商品を作り続ける

 6月からの連載も最終回です! 今は8月。恒例の(といっても、3回目ですが)ブルーイングリーンでのポップアップも1週間前に始まり、滑り出し快調です! 世界中の皆様、感謝申し上げます!

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買って使って救う

 事業をしていれば誰でも考えることだと思いますが「買う」ことの重みについて私はよく考えます。コロナ前ですが、会津木綿工場を引き継ぐ際にとてもお世話になった福島県立博物館の学芸員の講演会に行きました。とある限界集落の地場産業についての研究発表を兼ねていたと記憶していますが、聴講者からの「私たちに何かできることがありますか?」という質問に「とにかく買ってください。買って使ってください」と答えていました。どんなにいいものでも淘汰(とうた)されるものがあります。採算が合わないと職業として残らない産業があります。

 今までは、どこかの特殊な手仕事だけだったかもしれませんが、AI(人工知能)の導入により、これからは普通の仕事ですら、なくなっていくかもしれません。多大な需要に応えるために効率化を図ってきたのがこれまでなら、これからは人間にしかできない仕事が大事になってくるのかもしれません。

 そこで考えるのが「文化」です。「文化」は一朝一夕でできません。多くの人が長い年月、〝美しい〟とか〝面白い〟と思って続けてきた行為や所作や、心地が良いと思って何気なくずっと続けてきたことや使ってきたものが文化になってきました。会津木綿の商品を作って売ってきた身として「日本の文化に支えられている」と感じることがしばしばです。会津木綿の物としての力とその背景は二つで一つです。そのどちらが欠けても売れていないと思います。

風通しの良い社会へ

 これからの抱負も書いてみます。先日の日本滞在では障害のある方向けの就労支援施設の見学にも行きました。そうした方々と仕事をしている方ともたくさん話ができました。ヤンマは始まりが高齢の方々との協働でした。それが16年に代替わりし、今では思いがけずたくさんの若い縫子さんにヤンマの服を作ってもらっています。東京に職人が増えていっています! これからも「服を作る」「布で何かを作る」、そして、それを「たくさんの人に楽しんで(買って)もらう」ということを通して、より面白く風通しの良い社会を作ることに少しでも貢献できればと思っています。

 最後に、最後まで読んでくださりありがとうございました! 会津木綿、どんだけ魅力的なんだ? と、ぜひ買って使ってみてください!(笑)

(ヤンマ産業&会津木綿工場はらっぱ代表・山崎ナナ)=おわり

【連載】事業承継と世界旅行

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