伊ブルネロ・クチネリ 本社周辺地域の修復事業が完成

2018/10/11 06:27 更新


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 カシミヤを主力商品とするイタリアのラグジュアリーブランド「ブルネロ・クチネリ」の会長兼CEO(最高経営責任者)ブルネロ・クチネリ氏が独自の企業哲学によって推進する、同社の本拠地ペルージャ県ソロメオ村と周辺地域の修復事業が完結した。

 第1段階は1985年、ソロメオへの本社移転でスタートし、2015年に完了している。ソロメオの丘の上の古城、教会、住民の住居など元の姿を尊重しながら進めた「村の修復」、劇場、ライブラリー、思索のための空間「哲学の庭」などによって構成される「アートフォーラム」の造営、ニットや仕立て、ガーデニングなどを学ぶ「ソロメオ職人学校」の開校、丘のふもとの新社屋の開設など。

修復事業で昔の姿を取り戻したソロメオ

 この9月に完了した「プロジェクト・フォー・ビューティー」と名付けられた第2期修復事業は、10年に構想し、15年からブルネロ&フェデリカ・クチネリ財団によって開始された。ソロメオの谷側の地に87ヘクタールの公園を造営。公園は地産地消向けに栽培する果物、野菜、ワインなどを作る「農業公園」(約70ヘクタール)、サッカー場を含む「スポーツ・運動公園」(約6ヘクタール)、同社本社を含む「産業公園」(約11ヘクタール)から成る。

 ソロメオ周辺では、かつてオリーブオイル、麦、ワインが作られており、クチネリ氏は農業を営んでいた父との暮らしの中で、幼い頃から農作物の大切さに触れてきた。この伝統的農産物の生産を取り戻し、カシミヤ製品の生産が加わって、ソロメオの地に再び息吹をもたらす。

 農業公園には「人間の尊厳に捧げる」と書かれたアーチ状のモニュメントが置かれ、「人としての道徳的尊厳と経済的尊厳を保持しつつ働く」という創業以来の夢を象徴する。地球に害を及ぼさずに物作りし、正当な倫理、尊厳、道徳をもって正当な利潤をあげる。人々が美しい環境で働き、報酬を手にし、それぞれが夢の共同責任者として尊重されていると感じられる「人間的な現代の資本主義の一つの形の創生」を目指してきた。

農業公園のモニュメント

 現在、世界的に郊外の劣化が問題となるなか、過疎化が進む一方だった地域を再生したこのソロメオは、一つのモデルケースになり得る。同氏は「この再生に必要としたのはあらゆる細部を注意深く取り戻していくということだけだった」と話す。

 この事業の完結にあたり、クチネリ氏の人生とソロメオの修復事業について著した『ソロメオの夢――私の人生と人間的資本主義という考え』も出版された。思い出や伝統、資本主義について書かれたその本は、次世代の若者に向けられたメッセージでもある。「この著書は感動の歴史をつづったともいえる。歴史なくして、我々が目にしている様々な価値観の再生の成果を、将来において収穫し、維持していくことはできないと確信している。その再生の成果を収穫するのは若者たちだ」

ブルネロ・クチネリ会長兼CEO

(ミラノ=高橋恵通信員)


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