ボクラ ファンを定義し可視化、ランクに応じた的確な施策を

2024/07/29 11:00 更新


「能動的に企業やブランドを推奨してくれるファンを増やすのが大切」と宍戸さん

 BOKURA(ボクラ、東京)は「ファン創りとファンマーケティングを支援」する会社だ。企業、商品、ブランドなど様々なモノ・コトにファンは存在する。しかし、そのファンの解像度を上げ、可視化出来ている企業はどれほどいるだろうか。「ファンを定義して、可視化するからこそ、的確な施策が打てる」と宍戸崇裕社長は強調する。

(森田雄也)

点数化し計測する

 ボクラがクライアントと取り組む際には、まずファンの定義、KPI(重要業績評価指標)、KGI(重要目標達成指標)を企業と作成する。

 その後、SNS投稿や返信の傾向、アンケートの回答をもとに、ファンの声を「愛」「知識」「売り上げ」「推奨」の四つの観点で点数化し、ファンの度合いを計測。計測には独自に開発したファン度合いをスコアリングし、データ蓄積するSaaS(インターネットを通じたソフトウェアの利用)型ファン管理ツール「FANZOU」(ファンゾウ)を活用する。ファンゾウは20年7月から開発に着手し、22年8月に提供を開始した。開発には約5000万円を要している。

 その後、ファンを可視化する独自分析によりファンをS、A、B、C…のような形でランク化していく。

ファンの熱量を可視化し、管理する「FANZOU」

 一般的に企業はファン=顧客と考え、「売り上げ」に偏重して評価しがち。同社は四つの観点でファンを可視化し、ファンの求めることを正確に把握して、そのランクに応じた的確な施策が打てるようにした。

 例えばFランクのファンにはマス広告・交通広告から入り、AやSのようにランクが高いファンにはファンミーティングやクローズドなコミュニケーションを提供するといった具合だ。

 これまで延べ300社とファン作りを行ってきた。百貨店やアパレル専門店、雑貨ブランドなどファッション業界との取り組みも多い。「一部ハイブランドを除いて、粗利が低いゆえに宣伝広告に費用対効果を求め過ぎてしまう」。そこから脱却したい企業が多い。

 ファン作りのノウハウが企業に蓄積し、内製化されるまで最低1年。平均1年半がかかるという。費用は取り組み内容により、月数十万円から数百万円と幅がある。企業によっては7、8年と長く、取り組みが続いているという。

1万通りの接客を

 宍戸社長は東京生まれ。実家は1918年創業の老舗八百屋。近くに大手スーパーが出店しても毎日30分以上電車に乗って買い物に来てくれる客の存在を目の当たりにし、ファンがいることで成り立つビジネスモデルがあると感じた。

 大学を卒業してからは、カーディーラーや不動産営業、デジタルマーケティング企業などを経て、15年8月にボクラを創業した。「1万人の客がいれば1万通りの接客をすべき」と宍戸社長。そうやってファンが生まれ、そのファンが能動的に推奨するようになる。「それがファンマーケティング」と強調する。

 今はファン作りの費用を捻出(ねんしゅつ)できるような、大手企業との取り組みが中心。①老舗②地方③独自性の三つのキーワードに当てはまる企業はファンマーケティングと相性が良いとみて、今後中小企業を含めて、ファン作りを浸透させていく。

 今期(24年7月期)の売り上げは2億円弱の見通し。これを29年7月期には22億円まで拡大することをもくろむ。

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