ジェンダーフリー服の「ブローレンヂ」は、17年6月にブローレンヂ智世代表が「メンズサイズの可愛い洋服」をキャッチコピーに立ち上げたブランドだ。一般的にユニセックスやジェンダーフリーの服は、メンズ寄りのデザインが多い。同ブランドは、レディス服のデザインでありながら、性別関係なく男性的な骨格の人でも美しく着られるように企画している。
トランスジェンダーや女装家の人は、丈や骨格に合わないレディス服を工夫して着ていることが多い。「生まれ持った性別や体形に縛られず、誰もがファッションを楽しめる世の中に」とブランドを始めた。メンズのトルソーを使い、錯視効果も活用した商品企画をしているのが特徴だ。花柄のシャツワンピースは、肩の切り返し部分を少し内側にしてギャザーを入れ、Vネックを深めにして肩幅が強調されないようにしている。色は黒とピンクの2色で、税込み3万8500円。
顧客からは「ブローレンヂの服を一度着ると可愛いと思う一方で、今まで着ていたお気に入りの服が可愛く見えなくなった」という声もあった。そこで、腰に少し曲線を出すためにパニエとスカートを掛け合わせた「パニート」を打ち出し、手持ちのワンピースと合わせて着られるようにした。客層はトランスジェンダーや女装家、アスリートなどで性別は問わないという。商品はすべて自社ECのみで販売しており、オーダーメイドも受けている。
18年6月には東京大学でファッションショーとシンポジウムの「ファッションポジウム」を同大学の安冨歩教授と共同企画し、丸井グループも加わり開催した。東大・安田講堂でファッションショーもした。
9月12日に開かれた、大阪・関西万博に向けた繊維・ファッション産業の共創が目的の「大阪ファッション産業振興フォーラム(大阪商工会議所と関西ファッション連合が主催)」でプレゼンテーションを行った。また、来春頃にレースなどを使った男性用下着ブランドの立ち上げに向けて準備を進めている。「SDGs(持続可能な開発目標)について、ファッションからジェンダーの平等に貢献できたら」とブローレンヂ智世代表は話す。