スーツ離れが進む中でも成長を続けてきたオーダースーツ業界。それでも、コロナ禍による大打撃は避けられなかった。オーダースーツ専門店を運営するビッグヴィジョン(東京)は21年3月期に大幅な赤字となった。しかし以前から計画し、19年秋に導入した国内の自社工場での「7日間納期」生産システムは順調に売り上げを伸ばした。
社長の吉村雅隆さんは、「価格」と「ファッション感度」の2軸で競っていたオーダースーツ専門店の市場に、短納期を付加価値とする「時間」という新たな軸で勝負を挑んだ。通常なら納期が1カ月以上の店が多い中、7日間納期の実現によってオケージョン需要にぎりぎりまで対応できる。成人式やフレッシャーズ商戦などで既製服の牙城の切り崩しに成功したのだ。23年3月期は黒字を見込む。
廃校をリノベーション
新システムの導入当初は、店頭の接客・採寸をタブレット端末入力に切り替えたため、一時、ミスが増えたが慣れてくると減少。リピート顧客なら、一度データを入力すれば、次からは変更点のみの入力で済むのでスピードと正確性は高まる。ただ、デジタル化に対応できず退職した年配の販売員もいた。
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