アツギとロナティ シューアッパーでの技術提携に合意

2019/06/24 12:00 更新


 【バルセロナ=中村恵生】アツギと伊靴下編み機メーカーのロナティは、シューアッパー分野での技術提携に合意した。アツギの靴下で培った企画力、ロナティの編み機技術など双方のノウハウを共有し、アツギは2年以内に靴(完成品)の自社での事業化を目指す。

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 バルセロナで開かれている、繊維機械見本市ITMA会場で両社が共同発表した。合意内容は五項目で、①ロナティの開発するシューアッパー編み機の技術をすべてアツギと共有し、研究・研修を共同で取り組む②靴のデザインや品質について両社の情報を共有③特許取得に関し、相互に協力④マーケティングについて相互に協力⑤原料開発で相互に協力するという内容。

 アツギは今春、シューアッパー用のロナティ製ダブルシリンダージャカード編み機を開発用に導入し、研究開発に着手したことを発表していた。ここ数年、スニーカー主体にシューズアッパーのニット化が世界的に進み、さらに最近は先行した横編みから靴下編み機をベースにした丸編みが広がっている。

 ただしアツギが導入したダブルシリンダーはまだほとんど出回っておらず、技術的にも優位性を出せるとの判断だ。「リブ編み靴下で使うダブルシリンダーはうちが国内で最大の職人を抱えている。出口作りを進めながら、国内自社工場での投資につなげたい」(工藤洋志社長)とし、量産体制を視野に入れる。

 商品は、柄出しができるダブルシリンダーの強みを生かし、シングルシリンダーでは出せない柄やフィット感を追求したもの、柄タイツと共通柄の靴、ブーツとタイツが一体化したデザインなど特徴あるものを企画、汎用的なゾーンとは差別化していく。ITMAのロナティのブースでも試作品を並べている。

 事業化は、まずはアッパー部分でのOEM(相手先ブランドによる生産)を先行し、ゆくゆくはソールの接着工程も含めた完成靴の内製化を検討。強化している直営店ルートも活用し、「世界観を表現していきたい」という。

 一方、ロナティにとって、シューズアッパー分野での今回のような提携は初めて。「当社にとってアツギは1200台の編み機を持つ、世界でも大きなお客。先駆的な会社をパートナーとし、企画側のニーズをフィードバックするなど双方のメリットが追求できる」(エットーレ・ロナティ社長)とする。

技術提携を発表したエットーレ・ロナティ社長(左)と工藤洋志アツギ社長
リブ編み靴下のノウハウを靴開発に生かす


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