【トップに聞く】伊アニオナ DNAの復活に評価

2017/11/03 11:59 更新


 カシミヤを得意とする「アニオナ」は、およそ半世紀にわたる日本での販売を記念して「ア・ロング・アンド・リッチ・ヒストリー・イン・ジャパン」と題したエキシビションを開催した。高級生地ブランドとして創業した1950年代から、素材を生かしたレディスコレクションも発表する現在までの歴史を改めて披露した。来日したアレッサンドラ・カッラCEO(最高経営責任者)にブランドの未来を聞いた。

(青木規子)

 クリエイティブディレクターのサイモン・ホロウェイが15年に就任して以降、ブランドは大きく変化しました。彼はブランドのDNAをよく理解しており、フェミニンでエレガントなムードをよみがえらせた。以前のディレクターはとても優秀で、ファッションフォアードな強いデザインが特徴でしたが、ソフトなアニオナが復活したことで、大きな波になって以前の客が戻ってきました。

 アニオナはラグジュアリーな物作りが評価されてきました。ラグジュアリーとは、縫製の良さや職人による確かな手仕事に裏打ちされています。サイモンは、その魅力を存分に生かしながらDNAを復活させた。それが消費者に評価されました。

 今は、成長する良いタイミングです。そのために、ニッチな世界観をきっちりと説明することが重要です。発展に欠かせない点は二つ。

 一つは、ショーやイベントを通して消費者にブランドを理解していただくことです。今回のイベントでも来場者にブランドの歴史を伝えて、未来を語ることを重視した。消費者に直接伝えることが今後の成長に直結すると考えています。

 もう一つは、世界でディストリビューションを広げることです。世界的にみると、我々の拠点はまだまだ数が限られています。きちんと拠点を築き、コミュニケーションに力を入れることで売り上げを伸ばすことができると思う。

 とはいえ、拡大を重視するわけではありません。アニオナの商品は長いタームで使えるので、母から孫まで受け継ぐことができる。長い目でブランドを見て伸ばしていきたい。

 商品はでき上がっています。素材もデザインもパーフェクトです。今後はそれを手に取ってもらえるように促す仕掛けが必要です。実店舗で、お客様にコミットしながら体験してもらうために来店を促したい。

 現在、ロンドンでオープンしている期間限定のコンセプトショップを、一つのテストケースにしたい。イタリアのアパートメントを模した店内は、自分の部屋にいるような空間でアニオナ特有のリラックスした気分が体験できる。評判も良く、年末の閉店後も場所を変えてすぐにオープンする予定です。同様の店を世界でもやっていきたい。日本でも三喜商事と話し合っている最中です。

 日本はすでに重要な拠点ですし、再度、売り上げも伸びています。今後は、日本のセンスを取り入れたローカルプロジェクトなど、今までとは違う取り組みも検討したい。発信力を強めて、パートナーと協力しながら消費者開拓を進めたい。

アニオナ アレッサンドロ・カッラCEO



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