イオンの3~8月連結決算は営業利益も過去最高となり、その半分近くを小売り分野が占めた。かつてはディベロッパー事業や総合金融事業が引っ張り、19年度上期の小売りの比率は約2割。改革がコロナ禍とインフレで「加速できている」(吉田昭夫社長)とし、構造が変わってきた。
要因の一つは、上期として10期ぶりに黒字化したGMS(総合小売業)事業。「コストがきっちり締まってきた効果」という。在庫の圧縮やデジタルの活用で店舗運営の効率化が進んだ。
GMS事業は引き続き収益拡大が課題だが、その推進に向けては食品を中心としたPB「トップバリュ」の拡大に力を注ぐ。インフレ下で認知が広がり、価格だけではない打ち出しの商品が動き、今期は売り上げ「1兆円が見込める」。
食品の方向性は定まり、さらに「衣料品、住居関連品の改革が次のステップ」とし、従来から課題だった非食品部門の改革を改めて進める。住居関連品は「プランニングをしているところ」だが、衣料品はイオン船橋店でシーン・年齢別に売り場を分けた実験が2ケタの伸びで、「正のモデル」として水平展開をうかがう。