エースは、人間工学に基づき、体格に合うハーネスを選べるビジネスリュックの販売を始めた。百貨店でのフィッティングイベントを主販路に、富裕層を取り込む。人間工学で博士号を持つ開発スタッフが企画を主導しており、社内の商品開発力を高める狙いもある。
(高塩夏彦)
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同社のビジネスリュックの販売は、通勤スタイルのカジュアル化などで、11年ごろから伸び続けている。18年にスタートしたスリムで電車内でも邪魔になりにくい「ガジェタブル」シリーズは25年2月時点で合計販売数が45万個を突破した。
一方、「リュックは肩に重さを感じやすい」などの客の声もあった。より快適に使える商品の開発を目指し、22年に研究・開発部署「エースラボ」を開設した。メンバーの若生然太さんは、会社の支援で大学院に通い、リュックの荷重の分散などについての論文で、博士号を取得した。

開発した「DP2.4U」は、体形に合わせた4種類のハーネスがある。肩の厚みと腰骨から首の付け根までの長さを基準に、大柄の「マックス」、筋肉質な「パワー」、華奢(きゃしゃ)な「スレンダー」、平均の「バランス」に分類する。ガジェタブルシリーズの日本製最上級モデルをベースにしており、税込み6万2700円。

フィッティングイベント「ハーネスフィットラボ」では、専用の器具で体を計測し、最適なハーネスを提案する。若生さんが直接、開発者目線で接客する。4月22日まで伊勢丹新宿本店メンズ館で開催しており、大丸の梅田店と東京店でも続けて開く。
「今はテストマーケティングの時期。反応を見ながら販路を広げたい」(若生さん)。より広い客層を取り込む廉価版の開発や、直営店でのフィッティングサービスも検討する。
