【トップインタビュー】瀧定名古屋 代表取締役社長 瀧健太郎氏(PR)

2023/07/03 00:00 更新



 今期、マーケットは濃淡が有るものの、動きは良くなっていくとみています。今まで以上に流通在庫をどういうポジションで持つのか、ということが大切です。機会損失にならないよう、仕入先や販売先と話し込み、必要な時に価値ある商材を供給していきます。

 川上段階から入り込み物作りをしてきました。自家生産を含め確かな品質とニーズを踏まえた商品をマーケットに供給します。このスタンスを堅持しグローバルなマーケットに広げていきたい、それに繋がる人材育成や人的投資もしていきます。

 服地部門と製品部門は、サステナブルや機能素材を切り口に、スポーツ・アウトドア分野の新規販路も拡大しています。

 服地部門では全社、各課ともにサステナブル素材に取り組み、色・バリエーションを持ち、販売先の物作りのスケジュールに応えていきます。また、ペレットから在庫する「ナイロール」は、レアメタルを練り込み、発熱、防透け、遮熱など高い機能を備えた糸です。メーカーとしての意識を持ち、機能の実証に取り組んでいます。

 製品部門では、今期から紳士服部門と製品部門を統合し、アパレル部門を新設しました。レディス、メンズからベビー、リビングまで各製品の生産や物流でシナジーを生み出し、効率を高めていきます。ASEAN(東南アジア諸国連合)でも最適なサプライチェーンの構築を図ります。

 国際貿易推進部は、テキスタイル輸出で欧米、中国、ASEANへと、グローバルな販売をさらに強化します。商品企画を販売力につなげる力は、販売先としっかり話し込み、物作りに反映させる精度です。これを海外でも発揮していきます。

 社員に伝えたいのは「勇気をもって、売っていこう」。様々な要因が重なる難しい局面だからこそ、自信を持ちリスクを恐れず挑戦し全社一丸となって乗り越えていこう、ということです。

瀧 健太郎氏

取締役 営業本部長 住田 智勝氏

 この3年間、「国際サステナブルファッションエキスポ」に全社連携で出展し、社外への打ち出しとともに、社内に向けても当社の強みをあらためて確認し、情報や価値観の共有につなげてきました。当社の強みは、物作りに精通し知見を生かした企画力であり開発力です。物作りのボトルネックを理解し、素材の特性を生かしたハイブリッドで、機能をさらに進化させた商品企画で市場を開拓していきます。

 サステナブルな循環型社会の形成を目指すプロジェクト「Re:」(アールイー)では、リサイクルウールの「リニュール」のリブランディング、縫製端材や廃棄衣料を他の原料と混合してハンガーなどに循環させる取り組みを進めてきました。

 海外販売では現地法人や国内の子会社との連携が活発化し、成果をあげています。欧米市場は瀧定ヨーロッパを軸に国際貿易推進部や服地部門、製品OEMのグラックジャパンとも連動、ASEAN向けではベトナム現地法人を軸に販売が広がっています。

 今期から紳士服部門と製品部門を統合し、アパレル部門としました。生産と物流を効率化、合理化するとともに情報共有を進め、お客様に価値ある商品とサービスを提供します。

住田 智勝氏

各部門キーパーソンに聞く

◆婦人服地部門 取締役 婦人服地部門長 瀧 浩之氏

 婦人服地部門の輸出比率は10%強の規模ですが、これを目先20%に高めていきたいと考えています。そのためには中国市場での拡販が欠かせません。中国では日本製生地は、高価格帯に位置付けられています。今後、現地法人の瀧定紡織品上海と連携し、現地で企画生産した生地を活用することで価格帯を広げ、提案の幅を広げていきます。

 一方で欧米向けにはサステナブルを切り口にした提案が不可欠です。紳士、婦人の両服地部門の横断プロジェクトチームの取り組みで、開発スピードを上げています。現在、環境対応素材は、全2000マークの中でまだ20%ですが、30年には50%に高めていきます。

 原料まで踏み込み、自家生産機能も持つことが当社の強みです。機能を生かすのは人材。産地研修では実学重視で物作りを学んでいます。コロナ禍で中断しましたが、今年から復活させ、物作りの楽しさを伝えたい。また、女性を継続して採用しており、各課には2人以上が在籍しています。女性目線での企画提案など活躍の場は広がり、さらに能力を発揮できるよう環境を整えていきます。


◆紳士服地部門 取締役 紳士服地部門長 堀江 宏氏

 紳士服地部門は昨年、新規マーケットの開拓に向けて、スポーツ・アウトドアとサステナブル素材のプロジェクトチームを立ち上げました。専任体制で素材の開発や調達から販売先の開拓まで担当し、今後の新たな柱に育てたいと考えています。

 スポーツ・アウトドア向けには、輸入素材や国内の合繊機能素材など新たな取り組み先も開拓しながら、ファッション性と機能性を切り口にした提案で、国内外のアウトドアやゴルフブランドなどに販売先を広げています。

 一方、サステナブルにはリサイクル、生分解、オーガニック、バイオマス、CO2削減など様々な方向性がありますが、私どもは全方位で対応し、お客様の要請にお応えできる体制で臨んでいます。また、「リニュール」や「ナイロール」「リアミド」などサステナブルな素材ブランドの発信にも力を入れてきました。プロジェクトチームを中心に素材メーカーなどとも連携し、当社のオリジナルとしてお客様開拓につなげています。

 生活が日常に戻る中、強みである企画力をさらに磨き、既存のお客様との関係もさらに深化させていきます。


◆アパレル部 アパレル部長 蜂須賀 努氏

 今期から紳士服部門と製品部門が統合し、アパレル部門として発足しました。紳士服部門は中国からASEANに物作りの基盤を広げ、ドレス分野での生産力の強みを発揮してきました。一方でレディス、子供服、リビング、メンズカジュアルなどで構成する製品部門は企画提案型を強みとしてきました。

 アパレル部門は両部門が持つ特徴や強みを合わせたシナジー効果を顧客に提供します。1年目の今期は、両部門を合わせた効率的で最適なサプライチェーン作りを進めます。

 生産面では新たに設けた生産貿易統括室が、課ごとに行ってきた工場管理や貿易、物流などの機能を調整します。その横には同じく新たに設けた営業支援室があり、システム運用などの事務方として機能します。社内の部門間を調整して、スポーツなど新たな分野にむけて連携する販売推進室も設けました。この支援体制は、横串で生産や事務の部門を円滑に運営する調整役にもなります。これにより営業課はそれぞれが販売面に注力することができ、当社に求められる企画力や安定供給などの役割を変化するマーケットの中でも担っていきます。


◆国際貿易推進部 取締役 国際貿易推進部長 黒田 剛臣氏

 瀧定グループの海外戦略を担う国際貿易推進部は、国産品の輸出に加え、グローバルサプライチェーンを構築して貿易する部門です。

 日本のトレンドは世界的に評価が高く、日本で培ってきたノウハウに、海外顧客の要望と潜在ニーズも先読みし、原料・テキスタイルからガーメントまで対応できることは当社の強みです。また、スマートベンダーとして何千もの商品をストックし、お客様が必要なモノを、必要な時に、必要な量だけ提供できる、生産ロスと無駄を出さないリスク機能も特徴です。

 これらの企画提案力とリスク機能を組み合わせ、世界各国の要望に素早く対応するためには現地法人との連携が大変重要です。

 オランダ現地法人との連携で欧州販売が成長しています。今後、北米や中国、ASEANへの販売を更に強化するために、中国・ベトナム・カンボジアの現地法人と連携を深め、グローバル販売を拡大します。

 また、当社のグループ機能をより多くのお客様に提供出来るよう、デジタル技術・オンライン販売も強化し、原料から製品まで繊維に関わる全てのモノを提案します。


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企画・制作=繊研新聞社業務局



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