転換期のファッションビジネスに対応して新たな事業領域を拡大
ファッションビジネスは、国内のアパレル市場の成熟化に加え、デジタル化の進展に伴い消費者の購買行動が急速に変化するなど、今、大きな転換期を迎えています。このような環境に対応するため、ワールドグループは、2017年4月に事業持株会社体制に移行し、事業構成を「ブランド事業」「投資事業」「デジタル事業」「プラットフォーム事業」の4つの事業セグメントに再編しました。
事業の柱である「ブランド事業」においては、各事業会社がそれぞれのブランドらしさを明確に商品力を磨き上げ、差別化されたマーケティングを行うことでお客さまの期待にお応えしています。
「投資事業」においては、2017年6月、日本政策投資銀行と㈱W&Dインベストメントデザインを設立し、ファッション産業を対象とした共同運営ファンド「W&Dデザインファンド」を組成しました。12月には第一号案件として、セレクトショップ「ザ シークレットクロゼット」、ラグジュアリーブランド「シクラス」を手がける㈱ユア サンクチュアリーへの投資を発表。日本発のブランドを世界に羽ばたかせたいと挑戦を続けています。また、ほぼ同じ時期に、キッチン雑貨専門店「212キッチンストア」や家具・インテリアを中心とした生活提案型店舗「T. C / タイムレスコンフォート」を展開する㈱アスプルンドが、ワールドグループに仲間入りしました。既存の雑貨事業とも親和性が高く、シナジーを生んでいきたいと考えています。
「デジタル事業」においては、お客さまを起点に店頭から作り場までを一気通貫させ、ロス・無駄を利益に変える当社独自の仕組みである“SPARCS(スパークス)構想”のデジタル化を推進しています。直営ファッション通販サイト「ワールドオンラインストア」を中心としたECの成長を促すとともに、㈱ファッション・コ・ラボにおいては、他社ブランドに向けたファッションウェブ通販事業の基盤提供やコンサルティングを行っています。また、2017年10月には、ITコンサルティング企業のフューチャー㈱とのジョイントベンチャーにより㈱ファステック・アンド・ソリューションズを設立。広義でのファッション関連企業を対象に、デジタルを活用した包括的なソリューション支援にも取り組んでいます。
「プラットフォーム事業」においては、ワールドグループが60年に及ぶ歴史の中で培ってきた生産、店舗・販売、空間設計といった様々なノウハウと仕組みを活用したプラットフォームの外部企業へのオープン化を推進しています。このように、「投資事業」と「デジタル事業」を含む広義の「プラットフォーム事業」の充実により、これまでの「ブランド事業」の枠を超えた、新たな事業領域へと拡大を進めています。
ワールドグループの歴史はトランスフォーメーションの連続
ワールドグループは、1959年に神戸で婦人ニット卸売業として設立しました。これを「第一の創業」とするならば、卸業態で総合アパレルへと大きく成長を遂げた後、マーケットの変化に対応し、93年に国内SPAブランドの先駆けとなる「オゾック」で小売事業をスタートしたのが「第二の創業」と言えます。2000年以降はショッピングセンターや駅ビルなど新たなチャネルに向けて、多様化するお客さまのニーズに対応してきました。創業当時から、常に社会環境やお客さまの変化に的確に対応し、これまで成長を牽引してきた事業や成功体験を対極から見つめ、“創造的自己破壊”という視点で自ら“トランスフォーメーション(変革)”し、新しい事業分野にチャレンジしてきました。常に業界の常識を打ち破り、新たな価値を次々と提案してきたワールドグループの歴史を振り返ると、“トランスフォーメーション”の連続と言えます。
そして、2017年、事業持株会社体制を始動し、大きく変革を遂げたワールドグループは「第三の創業」を迎えました。事業持株会社化によってたくさんの経営者が生まれました。女性初の事業会社社長や店頭のアルバイトからキャリアをスタートし、ブランド責任者を経て、事業会社社長に就任するなど次世代の活躍の場も広がっています。また、プラットフォームのオープン化に加え、新たに設立したファンドやコンサルティング機能とも連携することで、広くファッション産業の活性化に貢献する総合サービス企業グループへと“トランスフォーメーション”していきたいと考えています。
新しい洋服に袖を通すときの、あのワクワクした気持ち。毎日、必ず着る洋服は、暑さ寒さをしのぐためだけのものではありません。ファッションとは、気分を高揚させ、着る人の魅力を引き出すものだと思っています。私たちワールドグループが目指すのは、時代の変化に常に対応して進化し、新しいファッションビジネスを創造する「価値創造企業グループ」です。そして、それを支えるのは、まぎれもなく「人」であり、人こそが価値を生み出す源になると考えています。
株式会社ワールド
(繊研新聞本紙3月15日付け)