【トップインタビュー】モリリン 森正志社長

2018/10/17 05:30 更新



 モリリンは今年、創立から115年目を迎えた。創業から数えると350年以上の歴史を持つ繊維専門商社だ。原点である糸の販売から今日の原糸、生地など独自の開発につながり、事業領域はアパレルやリビングといった製品の製造販売、さらにはブランドショップ展開へと広がった。中期経営計画「Challenge115」の最終年度にあたる今期(19年2月期)、目標達成に向けて邁進するとともに、今後の発展への布石を打ち続ける。

従来の発想を変えて挑む

――今の事業環境をどう見ていますか。

 主戦場である国内のアパレル小売市場は、百貨店・量販店からファストファッション・専門店へと移り、さらにはECの存在感が増しています。優劣が鮮明化すると同時に、市場規模は縮小し続けています。そうした中で当社にとって、単価の下落は課題になっています。上期(3~8月)は売上高が計画を上回りましたが、利益は良くない。大きな要因として生産コストの上昇と、物流費など経費の増加が響いているためです。ただ、売上高の回復に手応えを感じており、下期にも期待しています。

 ヤングレディスは、二極化が進んでいます。百貨店系は落ち込みに歯止めが掛かりつつありますが、量販店系は売り場が減っており、1割内外の売り上げの減少は避けられないでしょう。一方でリビングやユニフォーム、ミシン糸、産業資材などはアパレル製品に比べ堅調です。

――素材開発をさらに加速しますか。

  素材開発は、着実に進んでいます。直近の代表例では、綿ライクのポリエステル機能素材「ドライミックス」です。当初、アウトドアやスポーツ向けでしたが素材バリエーションの拡大で、レディス、メンズなどのカジュアルに広がり、さらに医療用のインナーまで採用が進んでいます。部門を越えた取り扱いも増えてきています。

 防寒のアウター用途で売れている「サーモミルフィーユ」は、寝具用の中わた素材として開発したもの。こうした事例はこれまでに無く、これからも発想を変えて取り組む必要があります。

 さらには、昨年度立ち上げた「素材開発PT(プロジェクトチーム)」は、全社横断的な人員構成で、機能素材を中心に差別化できるオリジナル素材を次々に開発しています。素材部門のマテリアルグループでも尾州や福井産地と協業して開発を進めています。「素材に強いモリリン」としてオリジナル素材開発の強化と並行し、用途や発想を変えた素材作りが重要になっています。

6月の合同総合展ではオリジナル新素材を数多く発表

大手販売先との取り組み、それに次ぐ新販路の開拓

――国内外の販路開拓は進んでいますか。

 簡単にはいきませんが、チャレンジする必要があります。大手販売先との取り組みは、今期も全アイテムに渡って増えています。市場が不透明で小売業の方針も定まりにくい中、サプライヤーとして新しい物を提案するチャンスが増えていると捉えています。SPA(製造小売業)型ブランドとの取り組みでも素材を切り口にした提案で、新たな販路ができつつあります。そのためにODM(相手先ブランドによる設計・生産)はさらに磨きを掛けていきます。オリジナルのレディスブランドの「リズム」、素材から縫製までの生産を支援しているメンズの「wjk」、資本提携しているレディスの「ヴゼット」などに継続して力を入れることもODMの強化に繋がります。

 海外販売では、製品とミシン糸で頑張っていますが、まだテキスタイルが弱い。しかし中国のSPA向けが単位になってきました。日本流の管理が評価されています。当社が拠点を持つインドネシア、ベトナム、タイでも同様です。今後、日本市場での拡大は見込めない中、海外での成長戦略は欠かせません。

――どのように広げていますか。

 チームでの商談がうまくできるようになってきました。それにより幅広いアイテムの要望に応えられています。チャンスだと感じるのは小売業の変化です。例えば、機能とファッションを兼ね備えたポロシャツがユニフォームの売り場に並ぶようになってきています。消費者が選ぶのは、こうした売り場になっていくかもしれません。新しい取引先だけに試験期間を要するケースも多いのですが、決まれば大きなものになっていくでしょう。

 ECでの取り組みは、寝具寝装・リビング用品を扱うネットショップの「オフカ」や、wjk、ヴゼットなどでも、自社のオンラインショップと他社ECモールの販売で実績を上げています。ECビジネスへの取り組みは今後も積極的に進めていきます。

レディスデザイナーブランドの「VOUSÉTES」(ヴゼット)

近視眼的ではなく、先を見通す。

――AI(人工知能)への取り組みは。

 量販店との取り組みを進めていますが、セレクト系でも本腰を入れたいと考えています。まだ勉強しながら手探りの段階ですが、この先に役立つはずです。顧客のビッグデータ解析に画期的な変化をもたらしたAIの画像認識技術は、通販でも活用できると考えています。繊維ファッション業界にはまだまだ無駄が多い。AIにより効率化できる部分が大きいはずです。

 6月の合同総合展で米国のAI関連企業と提携し、デジタルサプライチェーンの構築を目指すべく、商品企画・MD設計、需要予測などで商品ロスの軽減を図る仕組みを提案しました。さらに進化させて商品企画、生産から物流までトータルにAIを活用した仕組みで、取引先との新しい取り組みを創造していきます。

<トピックス>

115周年にあたり、「健康元年、健康企業」にチャレンジ

 創立から115周年を迎えられたことを、社員に感謝したい。10月14、15日に熱海で記念行事を行います。また、今年は「健康元年、健康企業」を目指す年にします。残業の抑制、スポーツクラブや飲みニケーションの復活などですが、特に健康の取り組みを進めたい。東京支店にシャワールームを設置したり、同好会やクラブ等の社内活動を推奨します。繊維ファッション産業は、華やかな表舞台を支える泥臭い仕事がつきものです。そこで戦い抜いていくには、健康をないがしろにできないからです。

profile
森 正志(もり・まさし)氏
1952年5月26日生まれ、80年モリリン入社。
95年取締役、04年常務取締役、07年専務取締役、09年取締役副社長。
10年から代表取締役社長。

モリリン株式会社


http://www.moririn.co.jp/

(繊研新聞本紙10月1日付け)



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