【トップインタビュー】小泉 植本勇会長

2018/03/01 03:30 更新




 17年に創業300周年を迎え、新たな未来に向かう小泉。「ゆるやかな連携」によるグループ拡大を続け、年商600億円規模となる関西を代表するアパレルグループだ。近江商人の三恩(得意先、仕入れ先、社員)感謝、「三方良し」の志で、軸をぶらさず、時代の変化に強い対応力で多くの荒波を乗り越えてきた。特殊特徴品を扱うことで独自性を発揮し、他企業に先駆け中国、インドと生産地の開拓をしてきた先進性も備える。ECの台頭やAI活用など、大きな変革期を迎えているファッション業界に、同社はどのように立ち向かうのか。

ファッション産業の変革期に問われる姿勢

――ファッション業界の現状について、どのような視点か

 私は小泉に入社してファッション業界で、多くの変革を目にしてきましたが、これまでの変化は過去の延長に過ぎず、緩やかなものだったように思います。ですが、ITの発展が見られたこの数年の変化は、流通業界全体に及ぼすものがあり、かつ急激です。この対応は難しく、しかし対応せねば生き残れないとさえ感じています。我が小泉グループも、現在を大きな変革期だと位置づけており、課題は商品開発と流通経路にあります。

 新たな流通経路としてECの世界的な拡大は見過ごせません。すでにその影響を受け、打撃を被った業態・企業も見受けられます。EC利用者は日本国内ではまだ、高齢者が利用が少ないものの、10年もすれば全年代に広がり、増え続けるのは間違いありません。ECはアメリカが先行状態にあり、中国でもアリババなどの急成長が見られます。開発途上にあるASEAN諸国でも、ITが発達すれば、一気に日本を追い越す可能性もあります。

 中国の「独身の日」、11月11日のアリババの売上高は1日だけでゆうに2兆円を超える、これまでには考えられなかった販売力をECは有しています。そしてこれらはまだ進化の途上にあります。   そこで販売される商品はブランドであれ、価格であれ、消費者が価値を見出す特徴のあるものでしか、受け入れられません。メルカリの人気に見られるように、必ずしも新商品でなくとも、受け入れられる時代にもなっており、ますます流通形態は変化が進むでしょう。こうした変化への対処が大きな課題であり、存続するためにも避けて通れません。

変化対応への4つの課題

――激しい変化を生き抜くために小泉グループに必要なことは

 変化に対応するための社内課題としては、「販路別の商品開発」「生産プラットフォームの整備」「システム開発」「物流改革」にあると思っています。

 商品開発ではこれまで以上にグループ各社それぞれに、品質、価格、デザインの特徴を強めていきます。各社ごとに主要販路をきちんと見据え、その販路ごとのふさわしい商品開発と供給を行うための課題を乗り越えていくことで、グループ力を高めて参りたい。例えば量販店は衣料品に関して、専門化の兆しがあり、デベロッパーとして入れる専門店を、自社開発する動きもあります。そうやって新しく生まれる売り場で、販売される衣料の企画力を発揮できればと思います。

 衣料生産は、国内生産比率が数%となり、中国に技術移転が完了したとも言え、素材開発も現地でできるようになりました。しかし、中国では人件費が高まり、コスト競争力に陰りが見えています。労働集約型でないサービス業、IT産業が増え、生産労働力の確保も容易ではなくなりつつあります。まだ10年ぐらいは優位性が保たれるとは思いますが、その先は不明です。中国に代わる生産地にASEANへの期待もありますが、現状では納期や原材料手配の問題もあり、ASEANに進出していた企業が中国に戻る例も見られ、不透明な状態です。またASEANでも他産業が台頭すれば、中国同様の事が起こり得ます。

 小泉グループは生産国として、40年の取り組み実績があるインドに注力をしています。人件費に競争力があり、品質や風合いで特徴のある綿は、素材開発で優位にあります。合繊の生産技術も急速に発達しており、10年後には世界有数の衣料生産国に発展すると見ています。

 小泉は現地の専門メーカー、アイアイアイ・インディアをグループに迎えました。欧米へのネットワークなど、同社の持つプラットフォームを最大限に活用し、日本向け輸入、欧米輸出を強く推し進めます。また、生産機能が安定すれば、インド国内販売にも挑んでいきたいと考えています。

 物流の改革も進めます。これまでは商売と物流を一体としてとらえ、社内で進めてきましたが、専門化した物流技術の発達もあり、必ずしも社内で行なうことで人件費を抑え、コスト競争力に長けるとも言えなくなっています。IT技術を生かして省力化することがコストダウンにつながると思います。アウトソーシングも視野に入れ、物流改革もとくに注力していきたい。

 情報システムのアップにも力を入れます。今後、増えていくことが間違いない無人レジに対応する情報・管理システム対応は大きな課題となるだろうと思います。こうしたシステムはグループ全体に活かせるものであり、物流同様、専門性の高い企業と組むことも考えながら進めて参りたいと思います。

ジャイプール検品センターは08年設立。現地に根付いた取組が強みだ。
ジャイプール検品センターの様子

中国内販への再挑戦

――グローバル戦略で巨大市場の中国にどう向かうのか

 中国とは60年代からの貿易実績もあり、日中合弁会社も他社に先駆けて第1号となった湘泉服装有限公司を設立するなど、生産において、当社は長い歴史が有ります。しかし販売ではこれまで失敗の連続でした。その経験も生かしながら再挑戦をします。30年ほど前にジーンズの「バルマン」の小売店で利益をあげていたこともありますが、トータルコーディネートが進まず、長続きしませんでした。

 現在、小泉アパレルとコイズミクロージングで日系企業の小売店への卸は続けていますが、中国企業への卸も進めて、そこに向けた企画力を高めています。当社の17年9月展には、多数の中国企業の来展もありました。中国での本格的な販売姿勢を見せ、有力なチェーン専門店との取り組みや、販売員育成なども進めています。どの国においても現地に根付く事業活動を進めてきた当社の強みを活かして、販路を築いていきたいと思います。

profile

38年2月15日、滋賀県生まれ。

56年滋賀県立愛知高校卒、同年小泉に入社。

83年小泉アパレル社長、

01年小泉社長、06年小泉アパレル会長、

09年協同組合関西ファッション連合(KanFA)理事長、

10年から小泉会長。

17年旭日双光章受章。

小泉株式会社

〒541-0051 大阪市中央区備後町3丁目1番8号

TEL06-6223-7800

グループ会社

  • 小泉アパレル株式会社
  • コイズミクロージング株式会社
  • 京都小泉株式会社
  • 小泉ライフテックス株式会社
  • 株式会社オッジ・インターナショナル
  • 株式会社コスギ
  • 株式会社ギャルソンヌ

関連会社

  • 小泉産業株式会社
  • 小泉成器株式会社

(繊研新聞本紙3月1日付け)



Bnr counter agreement
Bnr denshiban

この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事

Btn gotop