セントラル・セント・マーチンズはAlexander McQueenやPhoebe Philoを輩出したファッションの名門校だ。卒業制作展は、秋シーズンに見逃せない期待度の高いショーのひとつである。WGSNのランウェイアソシエイトエディターAnna Rossが、卒業生の中から注目の5人にインタビューを行い、卒業コレクションと今後の活動について質問した。
By Anna Ross
Stefan Cooke
権威あるL'Orealプライズの共同受賞者であるStefan Cookeは、単調なワードローブベーシックに目を向け、デジタル加工や手作業を駆使して、ジーンズやアーガイルセーターといった普段使いのアイテムを独特なスタイルに生まれ変わらせた。
「親近感を覚えるのに、今まで見たことがないと感じるようなコレクションを作りたかったのです」と彼は説明する。また、セントラル・セント・マーチンズでの経験により、自己不信に打ち勝ち、自分のクリエイティビティを最大限に発揮することができたそうだ。現在進行中のプロジェクトがすでにいくつかあり、今後はコラボレーションを手掛けていく。
Gabriele Skucas
Stefan Cookeと共にL'Orealプライズを受賞したGabriele Skucasは、苦心して作り上げた手編みのクロシェアイテムからなる非常に美しく洗練されたコレクションを披露した。
「1つのクロシェ編みスカートを完成させるのに34日間かかりました」と彼女は語る。卒業コレクション制作のために、あえて手のかかる作業を行った。
「現代のテキスタイル技術の魅力に惑わされることがないように自分を律しました。」 このコレクションは感情的なプラットフォームでもあり、女性に対する社会的抑圧への不満を訴える。「いい子ちゃん的な女の子たちに、いかにも可愛らしい服を着せて、控えめな方法でネガティブさを表現しようとしました」。
Oliver Thame
Oliver Thameは定番のシルエットに豊かな質感をもたらし、はっとするような魅力に溢れる美しいコレクションを完成させた。
Jean-Stéphane Sauvaire監督による映画「ジョニー・マッド・ドッグ」の反抗的な少年兵たちにインスパイアされ、均一性と個性のバランスに焦点を当て、同コレクションにおいて5つのペルソナを生み出した。
「ただ口にするのではなく、全てを叫ぶように、過剰でうるさい何かを作りたかったのです」と彼は述べる。これらの美的感覚を備えたペルソナは、ブランドH-ours (www.h-ours.co.uk) を通して再び表現される。
Joshua Walters
Joshua Waltersによるモダニズムが光る洗練されたコレクションは私たちに感銘を与えた。
「このコレクションは、現代における美のイメージを覆し、明らかな目的のもとにジェンダーニュートラルなシルエットを提案しています」と彼は言う。単色使いにフォーカスし、素材、構成、機能性に一貫性を持たせることにこだわり、「新しい服の原型となる」ようなコレクションを打ち出した。
卒業制作について熱心に語る彼は、「自身のアイデアを厳しく問い、哲学的枠組みを作り、自分のデザインに対して本質的なアプローチを取ること」を学んだという。Dover Street Market LondonおよびStreet Market Ginzaで3度目の3Manコレクションをリリースしたばかりの彼に今後も期待がかかる。
Peter Morvin
「エレガンスとグラマーをベースとしたコレクションです。今こそ私たちにはそれが必要だからです」と述べるPeter Morvinは、印象的なカラーとボリューム感に満ちたコレクションを披露した。紙、箔、オーガンザを使って、自分自身でファブリックを生み出した。
「安いものと高いものを組み合わせました。」 卒業制作については、「あまり夢を見すぎず、一貫性を持ち、機敏になることを学びました。現実が全てです」と彼は語る。非常に為になるアドバイスだ。