30代キャリアの新しい価値観とは?

2014/01/15 00:00 更新


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 30代をメーンターゲットとしたレディス市場が、盛り上がりの兆しを見せている。この世代は、10代の頃はマルキュー系、青文字系と個性的なファションを楽しみ、大人になった今は、インポートブランドやファストファッションを自由に買いまわる。そんな“次世代キャリア”が満足できる服がまだ少ないとして、新ブランドを立ち上げたり、コンセプトを修正してそこに狙いを定める動きが活発になっている。

 マッシュスタイルラボは10年秋、業界に先駆けて、ニューキャリアをコンセプトに「フレイアイディー」を立ち上げた。これまでも「スナイデル」「ジェラートピケ」で新しい市場を作るなど、目の付け所の良さに定評がある。共に30代の近藤広幸社長と企画部部長の楠神あさみさんに、これまでの裏話やリアルな世代観を聞いた。

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─上の世代と比べるとどこが違いますか。

近藤:二人とも建築出身なのでその例で言うと、50、60代の人は例えば建築はガウディ、車はポルシェ、時計はロレックスと好きな物が徹底していた。うちらは、大御所とパリの新進気鋭の建築家なんかを同じ目線で見てきた。知識は上の人達に比べて浅いかもしれないけど、すごく多彩な価値観を持っている。上の世代は徹底的に自分らしい作風にこだわるけれど、今の30代は、一緒に仕事しているカメラマンとかもそうだけど、今の時代背景をうまく取り入れて表現しようとする。職人系からプロデューサー型に移行したという感じかな。

楠神:ファッションのテイストもすごく分かれていて、10代、20代と自己主張をしてきたのではないでしょうか。今、そんな世代が30代になって、仕事に対しても主張が強くなっている。だから晩婚化が進んだり、これまでの30代と比べてライフスタイルが急激に変わったと思いますね。

─「フレイアイディー」を立ち上げた狙いは。

近藤:キャリア市場って、大手のブランドの寡占状態で、ある意味閉鎖的だったと思う。就職活動ではリクルートスーツを買って、就職したらこの辺のブランドで買ってと選択肢が少なかった。でも今のプロデューサータイプの女性たちは、「キャリアはこういう服を着るもの」という決め付けられたブランド群では、満足できないんじゃないかと考えた。新しい選択肢を加えたかったんですよね。

 


企画部部長の楠神あさみさん


楠神:これまでの女性でキャリアって、見た目もカチッとしていないと男の人と戦えない時代だったと思うんです。でも今は、そうしなくても能力を認めてもらえるので、肩の荷を少し落として働けるようになった。そうなると、服装も変わってきますよね。着たいと思う服を着て、体の動きやすさなんかも意識する。そんな気分にはまるブランドってなかったと思いました。

近藤:仕事をしていると、交渉の場で活躍している女性によく会う。最終決定をする権限を持った女性がすごく増えてきているのを実感します。レギュレーションの若返りを彼女たちが担っていくんだなと。フレイのアイデアを社内の女性たちに相談したら、「アリじゃない?」と言われたから、立ち上げを決めた。女性の感性で「アリかナシか」を判断するのって一番シンプルですよね。

─立ち上げから今に至るまで、様々な変化を遂げてきたブランドです。

近藤:立ち上げ当初は、そうは言ってもキャリア服の既成概念に少し捉われてしまっていた。12年秋に、イメージガールとしてアレクサ・チャンを起用したことで、社内でのニューキャリアの価値観が共有でき、企画から販売まで浸透したことで、売り上げがハネはじめました。

楠神:13年秋冬物からチーフデザイナーを担うことになりました。まずは企画のメンバーに、自分たちが本当にいいと思う生地を選んできてと伝えることから始めました。それまでは、自分の意志よりも、フレイだからこの生地だなっていう感覚で選んでいた。12年秋から、少しずつ変わってきてはいたけれど、もっと必要だった。一回まっさらにして、彼女達をもう少し解放してあげたかったんですよね。そうすると、インスピレーションの写真から何から選び方が変わってきた。

近藤:根っからのプロデューサーだよね。今のフレイは柔らかさが出てきて、一つの新しい状態が作れていると思う。プレゼンテーションがストレートになってきた。

楠神:リアリティを持って考えるようになると、商品に対する愛着が急激に高まってきます。デザインに自分なりのプライドを持つようになるし、物作りもだいぶ変わってくる。これまでのキャリア服は、ジャケットは何割、ブラウスは何割と構成比を決めがちだったと思うけれど、フレイはもっとフラットに、日々のライフスタイルを表現していきたい。ニットも、これまでのキャリア服だとジャケットの中に着るハイゲージニットのイメージが強かったと思いますが、今はニット一枚だけでも働ける環境になってきた。そうなると、ニットの構成比も変わってきますよね。

─オンオフの境目が曖昧になっているということでしょうか。

楠神:区別なく、自由に働いている女性が増えてきましたよね。例えば、土曜日も数時間だけ働いて、その後遊びに行くような。これが自然になっている。

近藤:今の女性は投資の選択肢が増えているんだから、仕事にしか使えない服に数万円は払えない。これまでは仕事ではそれ用の服を着て、その後のデートでは「こんな格好でごめんね」って謝っちゃうような服が多かった。それってすごく乱暴なことだと思う。

─年々ファンが増えています。

近藤:12年秋以降は、20代のおしゃれさんがファンとして付いてくれた。でも、キャリアと言われる30代を取りきれていなかった。13年秋からは、もともとのファンを失わず、30代~40代のキャリアが付いてくれた。ルミネ新宿ルミネ2店は、昨年11月、月商4200万円と過去最高となりました。エージレスなブランドになってきていると思う。

楠神:このゾーンはこれからまだまだ成長していくと思います。スイートブームの時って、30代が一回若い服に流れたんです。でも、ここ1年で感じているのは、30代がもう少し自分を取り戻していること。自分らしい着こなしをしたいと思った時に、その受け皿となるブランドが本当に少なかった。だからって従来のキャリア服にいくわけではなくて、スポッと抜けている穴だったんですよね。30代は、自分を“若々しくきれいに見せる”から、“胸を張って30代と言える”見せ方に変わってきていると思います。

─会社としても、全てのブランドでエージレス化を進めています。

近藤:一貫してディティールまでこだわり抜くのが社風で、生地、ボタン、全てオリジナルで洋服作りに対して手を抜かないことが、お客さんにも伝わっていると思う。具体的にはどう?

楠神:計算としてエージレスを狙っているわけではなくて、ものづくりを追求することで目の肥えたお客さんにも支持され、自然にエージレスになっていくのでは。ただ、全てが自然ではないですよ。例えば、14年春夏はスカート丈が長くなっているので幅広い層が着やすくなる。でも一方でトップスの丈が短くなっているので、ラックに掛けた時にトップスの次に何を置くかというバランスは考えますね。

─今春は、30代前後に向けた新ブランド「ミラオーウェン」を立ち上げます。

近藤:洗練された洋服を低予算で買えるネクストベーシックがコンセプト。ネクストと付けたのは、不動のベーシックというより、その時々で進化していくベーシック服という思いからです。単純に、これまでの30代向けブランドって高かった。安カワの服も知っている彼女たちが、物の割に高い服を見てバカバカしくなっていた時代が長かったのでは。

楠神:近藤さんからミラの話を聞いたとき、特に驚きはありませんでした。そのうちやるだろうなって感じ。いくら大人になっても、全てをインポートブランドで買えるほど、服にお金はかけられませんよね。でも、そんな見え方のするコーディネートは感覚的に出来るようになっている。でもチープには見られたくない。そんな気持ちを叶えてくれるのでは。

近藤:「アクネ」みたいな少し背伸びしたら買えるブランドが出てきた今、モード性をファストファッションで買う時代ではなくなってきてるんじゃないかな。でも、全体のコーディネートで使う予算は変わらないから、合わせるブランドがより低予算になる。そこにベーシックなミラを合わせてほしいですね。世界に負けないロープライスラグジュアリーを提案したいと思っています。



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