21_21デザインサイトは、インドに伝わるカディという綿布に焦点を当てた展覧会「カディ、インドの明日をつむぐ」を5月13日まで開いている。
インドのある学校では、瞑想(めいそう)の前にカディの糸を紡ぐ時間がある。カディは手紡ぎと手織りで仕上げるインド伝統のテキスタイル。手紡ぎの時間を通して、インドの文化や精神は継承されてきたという。物作りの全自動化が進む今も、その考え方は受け継がれている。

作り手によって紡がれた一本一本の糸、多様な折り目による白の表情。美しいテクスチャーには、インドの近代史と哲学も織り込まれている。国旗に描かれた糸車の背景には、輸入品を絶って国産の綿布に身を包んで不買運動を行った歴史やインドの独立がある。希望の象徴としてカディがあった。
展示では、さまざまなバリエーションのカディや、インド・テキスタイルの文化復興活動を行ったマルタン・シンのインタビュー、瞑想の前に糸を紡ぐ学生の姿などを紹介している。