【パリ=小笠原拓郎】20~21年秋冬パリ・メンズコレクションは、ジェンダー(性差)を巡る新しい考え方とともに新しい男性像を模索するブランドが増えている。フェミニンなアイテムやニュアンスを取り入れたり、性差を感じさせないボーイッシュなムードを軸にしたブランドもある。
(写真=大原広和)
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黒をキーカラーにしたコレクションから一転、コムデギャルソンは色いっぱいのメンズスタイルを見せた。赤、ピンク、イエロー、グリーン、鮮やかな色を組み合わせたスタイルが弾けるように飛び出してくる。タータンチェック、レパード、シャドーストライプ、ダイヤ、星と、柄も様々でそれが同じアイテムの中に閉じ込められている。
コートの中にいくつものジャケットが、パッチワークのように散りばめられる。ジャケットを3枚重ねたスタイルは、肘に入れたスラッシュから下のジャケットの色がのぞく。ブラウンのコートは部分的に切り取られた身頃から、裏地のダイヤ柄が鮮やかに主張する。
前シーズンは、ヴァージニア・ウルフの小説『オーランドー』をテーマにジェンダーを超える新しい男性像を描いた。この秋冬はさまざまなブランドがジェンダーを切り口にして新しい男性像を描ているが、川久保玲はその先のテーラードの解体と再構築を色と柄を散りばめて描いた。
ロエベもまた新しい男性像に挑んでいる。ジェンダーの境界を巡る新しい提案とともに、アイテムの境界もメンズなのかウィメンズなのかがあいまいとなる。スーツのフロントにエプロン風のギャザードレープパーツを重ねてエレガントに。スカートのようなクロップトパンツやフリンジのようなヘム飾りを付けた膝下丈のパンツなど、どこかフェミニンな雰囲気が立ち込める。
メルトンのケープはテントライン、コートもわずかにフレアに広がるシルエット。モザイクのようなグラフィカルニットのセットアップに影絵のような鳥のアップリケのシャツなど、色や柄にも遊びはいっぱい。ゾウの形のハンドバッグは大きなチェーンやメタリックな刺繍を飾る。ブルマーのように裾をギャザーでたくし込んだようなディテールのコートも不思議なアイテム。
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