【パリ=小笠原拓郎】20~21年秋冬パリ・コレクションは、ミラノに続きテーラードスタイルでいかに新しさを出せるかがカギとなっている。シェイプの利かせ方や肩のフォルムにそれぞれのブランドの特徴を出しているが、共通するのは色の取り入れ方。赤やパープルをアクセントカラーにして、テーラードに艶やかな気分を取り入れる。
(写真=大原広和)
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ドリス・ヴァン・ノッテンはいつになく艶っぽくワイルドな男性像を見せた。フォックスのフェイクファーストールを首に巻き、パープルのベルベットパンツやファー襟のGジャンを合わせたスタイル。パンツの形は、ややゆとりのあるストレートの短い丈で、そこにプラットフォームシューズを合わせるバランスが独特で面白い。それは80年代のニューヨーク・パンク、ニューヨーク・ドールズを思わせるイメージ。ロンドン・パンクが黒とライダーズジャケット、スタッズといった様式美へ傾倒し画一化していったのに対して、まだ自由なミックス感覚が残っていたスタイルに焦点を当てている。
チェック柄にハワイアンフラワー、レパードにトラの顔、パープル、カーキ、ボルドー、ブラウン。様々な柄と色が混ざり合う。生デニムや箔(はく)の光沢、艶やかなベルベットにグレーヘリンボーン、ビジューの輝きを抜群のセンスで散りばめる。もう、だいたいのスタイルはやり終えて、ドリスの新しい引き出しは出てくるのだろうかと懸念してもいたのだが、この秋冬はまた一つ新しいページをめくった。
ジバンシィは、ミニマルでエッジの利いたテーラーリングの中に、わずかに色のアクセントを際立たせて見せる。ウエストシェイプしたシャープなカットのジャケットやコート。深いフロント合わせを、ボタンではなく大きな安全ピンで留める。シャープなテーラーリングとコントラストを作るのは赤いインナーや赤のディテール。ラテックスのような光沢の赤いハイネックパーツや、ポケットフラップに赤いテープを張ってアクセントを作る。
比翼仕立てのコートは、フロントの比翼の裏側に赤い色を忍ばせる。色のコントラストでは、ボルドーのコートとペールブルーのセーターの組み合わせも美しい。クレア・ワイト・ケラーはメンズとウィメンズの両方でキャリアを積んできたが、ジバンシィではメンズがウィメンズに先んじて良くなっている。
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