20~21年秋冬パリ・コレクション「ロエベ」ハンドクラフトでアートピースの存在感

2020/03/02 06:27 更新


 【パリ=小笠原拓郎、青木規子】20~21年秋冬パリ・コレクションは、手仕事の力を重視した物作りが焦点になっている。作家とともに新しい視点で服作りに取り組んだり、古着を解体して作り直したり。システマティックに作るのではなく、手間をかけて服の価値を高める。そんな作業にこだわるブランドが増えている。

(写真=大原広和)

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 ロエベがハンドクラフトの力を背景に美しく迫力のあるコレクションを見せた。会場の床は黒と白の格子状のフローリング。部分的に鈍いゴールドを差し込んで、ミニマルでシックな空間を作る。

 前シーズンの風がそよぐ爽やかな感じとは異なり、シャープな雰囲気が漂う。ウェアもぐっと重厚でエレガント。腰から丸くギャザーが広がるロングドレスは、身頃の中心だけタイトなドレスを合体させたようなシルエット。ウエストをシェイプし、袖や腰を膨らませるクラシカルなドレスを解釈し進化させる。そんな新しいフォルムを探求しようとする意志が感じられる。たっぷりと体を包むドレスの中心には、メタリックな突起を付けたレザーパーツをはめ込んで、量感と質感のコントラストを描いた。それはまるでアートピースのような存在。日本人陶芸家の桑田卓郎とともに手掛けたドレスだ。鈍いゴールドの青海波やうず模様のドレスはどこか和を感じさせる重厚感。ペプラムトップの袖口や首元に飾るグラデーションのビーズ刺繍もさりげなくモダンだ。ジョナサン・アンダーソンが続けてきたクラフトとの新しい関わり方を探りながら、芯のある現代の女性像を浮かび上がらせた。テーマは、「ファッションと遊ぶことを楽しむ」。


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