【ミラノ=小笠原拓郎、青木規子】20~21年秋冬ミラノ・コレクションに、マスキュリンなテーラードスタイルが広がっている。テーラーカラーのウールコートや少し大きめのショルダーラインのテーラードジャケット、パンツスーツ。きっちりと作り込んだメンズライクなアイテムを取り入れることで、エレガントな女性らしさを引き立たせている。
(写真=大原広和)
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プラダのショー会場には二つの四角い空間が作られ、それを2階から見下ろすように眺める設定になっている。四角い空間の中央には、板を組み合わせて作るアトラス像のオブジェが置かれている。壁にはハスの花が描かれ、東洋と西洋の雰囲気が混在する。そこに登場するのは構築的なテーラーリングとひらひらとした布の動きのコントラストで見せるスタイル。グレーや黒のシックなテーラードジャケットにフリンジのようなストリングススカートを組み合わせていく。コンストラクトとフラッパーというのが象徴的なスタイルとなる。テーラードジャケットの背中から袖のシームにかけてじゃらじゃらとビジューを垂らし、フォーマルイメージのテーラードコートの全面にフリンジを揺らす。男性らしさの象徴ともいえるテーラードジャケットはフリンジに包まれ、ふわふわと揺れ動く糸の動きに翻弄(ほんろう)される。
ダークカラーのテーラードスタイルの一方で、びっしりとビジューを飾ったオーガンディドレスは淡い色と透明感に包まれる。パッデッドレザーのジャケットとスカート、ブーツのコーディネートは、淡い色のカラーブロックで描かれる。シアリングのスリーブレスコートは、エナメルのような光沢。ファーのように見えるコートも、実はシアリングでできている。メッシュを切り替えたグラフィカルなドレスは、スポーティーでありながらエレガント。ハスの花を描いたサテンのパジャマスーツからは、エキゾチックな色香が漂う。
構築と非構築、テーラーリングとフラッパー、スポーツとフォーマル、ダークカラーとカラーブロック、東洋と西洋。いくつもの対照的な要素を組み合わせながら、マスキュリンとフェミニンの間にある新しい美しさを探る。テーマは「シュールレアル・グラマー」、ミウッチャ・プラダによるグラマーの再解釈。男性らしさを覆いつくすフリンジの動き、そこからにじみ出る官能的な美しさを描いた。
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