1月16日から18日まで、全米小売業大会が2年ぶりにジェイコブジャビッツコンベンションセンターで開催された。コロナ陽性率がその前の週にピークを迎えて右肩下がりになり始めたとはいえ、2~3人に1人が陽性という割合から3~4人に1人が陽性という割合に下がったレベルの中での開催だ。実際の安全管理がどう行われ、人出がどうだったのか、写真+個人的本音トークでご紹介する。
まず参加者はすべて、ワクチン接種済であることを示すリストバンドのピックアップが求められた。14日からリストバンドと共にバッジもピックアップできるとので、私は14日に両方をピックアップしに、ジェイコブジャビッツコンベンションセンターに行った。入り口でワクチン接種済証明と顔写真付き身分証明書を提示してつけてもらったのがこのリストバンド。つけてもらった時、係の男性と「これって、お風呂入る時も寝る時もしてないといけないってこと?」「外したらまた来た時につければいいんだよ」「でも毎朝そのための時間をとられたくないから今日来たのよ」「わかるよ」と会話を交わす。結局火曜日の最終日まで5日間、このリストバンドをつけたまま過ごした。苦笑
ジェイコブジャビッツコンベンションセンターの北側には新館が完成していて、今回の講演会の大方は、この新館内で行われた。
会場の外には、PCR検査を受けられるバンが待機。私自身は受けに行く時間がなく、実際どの程度の人がここで検査を受けたのかもまったくわからない。
会場内では、ホームテストキットが無料配布された。私の場合は、1日目はちょうど帰りがけに手渡しで配っているところに通りかかり、1箱もらえた。2日目にそこを通りかかった時は配布終了でもらえず、3日目は「2つずつとっていってください」と言われた。2日目まで出す量を調整し、3日目はどんどん配って残さない、という感じだったのかもしれない。私は最終日に帰宅後1度検査し、その4日後に再検査して、両方とも陰性でほっとした。
人手に関しては、1回目のスーパーセッションの会場に着いた時、いつも座る前の方の円卓がすべてふさがっていて、後ろの方の席に座らざるを得なかった。そしてこの時点では、座席は1人分ずつ開けて座らないといけないようになっていて、大方の人がその指示を受け入れていた。ただ、開始後に入ってきた人たちの中には、同僚らしい人と並んで座る光景も少しだけ見受けられた。いずれにしても、思った以上に多くの人が来ていたのである。
初日に私が楽しみにしていた、イギリスの小売コンサルタント会社、GDRクリエイティブ・インテリジェンスの創業者のケイト・アンケティルCEOの講演に行ってみると、そこでも既に席がない!仕方ないので前の方の壁際に沿って立っていたが、みるみるうちに座り込む人たちが増えてきた。アンケティル氏の講演はやっぱり人気が高いのである。もはや間隔を開けて座るなど、誰も思っていない。話が始まると、私がいた場所からはスライドが見えづらかったので、結局前の方の円卓の前の床(といってもカーペットが敷かれているが)に座りこんで視聴した。
1日目は大勢の人が訪れたが、2日目はスーパーセッションでもだいぶ人が減って、前の方に余裕で座れるようになった。
3日目はさらに減った。ただ、いつも最終日に向かって減っていく。今回、講演者がオフィスや自宅から登場したものがいくつかあった。いろいろ事情はあるのだろうが、こちらがリスクをはって参加しているのにバーチャル講演が続くと、さすがにイラっとくる。しかも、バーチャル講演者が会場の様子を見れないことをいいことに、対談形式の相手となった某氏は2回も、「会場には今3千人います」と言ったのだ!フェイクニュースもいいとこ!3千人というより300人といった方が近かったので、ますますしらけた。
それでも、今大会を通して1番良かった!と思えた講演が最終日にあった。モルガンスタンレーのカーラ・ハリス副会長兼マネージングディレクターの講演だ。実に話し方がうまく、もうどうしたらこんな風に上手なパブリックスピーキングができるようになるのだろうと感動した。経歴を見たら、2013年に当時のオバマ大統領からナショナル・ウイメンズ・ビジネス・カウンシルのチェアに任命された方だった。最終日は、私が話を聴くたびにいつも「やっぱりこの人いいなぁ」と思う、ミンディ・グロスマン氏(WWインターナショナルのCEO。前職はHSNのCEO)の講演もあった。最終日は人が減るのが常だが、私に言わせると、「すごく良かった」と思える講演が1つや2つあるのも最終日の常だ。
男性講演者の中では、アメリカの懐の深さを感じさせる経歴の方が2人いらしたことが印象的だった。1人はこちら、ウォルマートUSのジョン・ファーナー社長兼CEO。元々ミュージシャンになりたかったけど収入が低すぎたので、ウォルマートでパートタイムで働き始めたと話した。そのうち、ここで素晴らしいキャリアを築けると思うようになったそうだ。年齢も40代後半とまだ若い。もう1人は、イケアUSのハービー・キニョネスCEO兼最高サステイナビリティ―責任者。この方も、元々パートタイムでイケアで働き始めたそうだ。パートで入って大企業のCEOに。アメリカらしい元気の出る話といえるだろう。
展示会場は、1月20日付け本紙に掲載された記事でも触れたが、イノベーションラボとスタートアップゾーンは結構人が入っていた。若い人たちの発想による、新しいテクノロジーへの関心が高いのだろう。
メインの展示会場では、常連の大手が何社もキャンセルし、盛り上がりに欠けたことは否めない。高い出展料を払って出展した会社には気の毒な感じがした。来年は変異株に左右されることのない大会になっていることを心から願う。
89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ)