客単価は前年並み
ファッションジュエリーブランドのクリスマス商戦結果が出揃った。今年は23日からの三連休に購買が集中する〝超直近型〟商戦となった。売り上げを伸ばしたのは、SNS(交流サイト)、紙媒体含め、新たな販促手法で新規客の動員に成功したブランド。客単価はほぼ前年並みとなった。
年々、直近型になるクリスマス商戦だが、今年の日並びはその傾向をさらに加速させた。
3日間の爆発力
ミルクの「エテ」の25日までの12月単月での既存店売り上げは前年同月比16%増となった。初旬は低調だったが、「究極の直近型。23日からの3日間の爆発力で過去最高売り上げを更新」(ミルク)した。
3日間で、12月の約3分の1の売上げを達成。全体での中心客単価は2万1500円と前年並みで、伸びたのは客数だった。限定商品の売り上げは2倍強。3本セットのリングなどがヒットした。ウォッチ30%増、高単価ニーズも増えた。ECは45%増で売上高1億1500万円。
エーアンドエスの「アガット」も客数増により既存店売り上げが前年比20%増となった。3連休の売り上げは50%増で、主力のリングやネックレス、ピアスが動き、限定品の売り上げも前年を上回った。ECも50%以上伸ばし、特にピアスがヒットした。
エテ、アガットともに、例年と異なる販促手法を客数増の要因に挙げる。エテは秋とクリスマスの2段階でSNSに広告を出したほか、例年作成していたブックインブックのかわりに、幅広い年代の雑誌へ出稿し、ブランド認知が高まった。アガットはSNSの活用のほか、これまではクリスマスのみスポットで行っていたPRを、今年はイラストレーターの目黒ケイさんを起用し、秋から同一のテーマで継続したことが、好結果を生んだ。
ヴァンドームヤマダの「ヴァンドーム青山」も客数が約10%伸び、既存店売り上げが前年比15%増となった。「12月上旬から媒体掲載商品中心に堅調に伸ばし、23~25日も想定以上で、全体に好調だった」(ヴァンドームヤマダ)。24、25日は客単価も15%増。集客では、従来の30~40代の客層だけでなく、20代が増加した。
「VAヴァンドーム青山」など「姉妹ブランドの拡大で認知が高まった」と見るほか、SNSでの販促も反響が大きかった。ECは2%増。販売個数は伸びたものの、姉妹ブランドとの複合のサイトのため、客単価が3万円台半ばと実店舗と比べ2万円ほど低かった。「実店舗に流れたケースも多い」とも分析している。
自社ECも好調
エフ・ディ・シィ・プロダクツの「4℃」の既存店売り上げは前年並み。ファッションジュエリーの客単価は2万5000円と前年より100円低く、客数は微増だった。10Kの低価格帯(1万8000~2万2000円)が売れ筋。限定品に加え、ダイヤモンドの横並びネックレスが売れた。ECは、自社サイトの「ジュエリーブティック」の受注額が約3億5000万円と前年比26・4%増。
24日の売り上げが過去最高を達成したのは「フェスタリア・ビジュソフィア」などを展開するサダマツ。全体での既存店売上高は前年比8%増。主力商品のウィッシュ・アポン・ア・スターが前年比20%増と貢献して客単価が5%増の3万7500円となった。客数は前年並み。西武池袋本店、名古屋パルコの期間限定店のほか、テレビCM効果もあり、沖縄、九州エリアが伸びた。12月から開始した自社ECも好調。
サマンサタバサジャパンリミテッドの「サマンサティアラ」の既存店売上高は前年並み。3万5000円となった客単価、客数ともに前年水準だった。3連休のある週に客が集中。10月のテレビCM放映と同時に発売した10K製のフラワーブーケシリーズが人気となった。ECも前年並みだが、「在庫の奥行がもう少しあれば、さらに伸びたのでは」としている。