ワールドが構造改革 新型コロナ感染拡大でアクセル

2020/08/07 06:30 更新


鈴木信輝社長

 ワールドは新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、構造改革を加速する。20年秋冬に5ブランド撤退するなどブランドの統廃合や不採算店の退店を進め、希望退職も実施する。

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 希望退職は11月20日時点で40歳以上の社員(定年再雇用者含む)約200人を募る。対象となる社員は約1400人。募集期間は9月14~30日で退職予定日は11月20日。特別加算金を支給し、再就職の支援も行う。販売員は再配置を前提としているため対象外とする。希望退職の募集は15年の構造改革の際にも実施した。

 20年秋冬に撤退するブランドは「ハッシュアッシュ・サンカンシオン」「アクアガール」「オゾック」「アナトリエ」など5ブランド。その他複数ブランドも統廃合や改革を進める。5ブランドの撤退にともなう退店は214店、統廃合の対象ブランドとして再編時に14店を撤退、改革対象として低収益店130店を加え、計358店を退店する。

 退店店舗には黒字店舗も含まれており、新型コロナウイルスの影響も含めた立地や条件などを総合的に判断したという。退店店舗数は7月末時点の国内店舗数2460の約15%に当たる。

 今期からの3カ年中期計画でブランド事業の構造改革を段階的に進める方針としていたが、「新型コロナウイルスが極めて甚大な打撃を当社グループの収益を及ぼし、前提が一変した」として、「来期以降の確実な復活と次の成長フェーズへの移行には、大規模な事業の選択と集中、改革のスピードをこれまで以上に加速するほかない」と判断した。改革はブランド事業を中心としながら、デジタル事業やプラットフォーム事業、間接部門も対象とし、「一段の筋肉質なコスト構造」を追求する。

 ブランドの撤退や統廃合、希望退職、退店にともなう固定資産除去損と違約金などで約21億円、のれんの減損損失が約17億円、商品廃棄損4億円などを21年3月期にその他費用として計上する見込み。

 また希望退職の特別加算金等として約12億円を計上する予定で、事業所縮小などの一時費用も加え、構造改革費用として合計57億円を計上する予定。構造改革の実施により年間で約36億円の損益改善効果を見込む。

月次売り上げ予想修正

 第1四半期(4~6月)は想定を上回る既存店の回復やECの伸びなどにより、当初見通しよりも赤字幅は縮小した。ただし新型コロナ感染の再拡大など先行きの不透明感から、前提となる月別売り上げ予想は「より保守的に」見積もり直した。

 店頭の回復の遅れの半面、ECの売り上げ伸び率は5月発表時点より上方修正し、上期は38.2%増(前回発表20.3%増)、下期67.9%増(21.3%増。通期では55.0%増(20.9%増)を目指す。

月別売り上げ予想は「保守的に」修正した

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