小奇麗に暮らしたい
広島市内の個店専門店「クレエ」は、「オールドマンズテーラー」「トリコ・コムデギャルソン」「トゥジュー」などを揃える。徒歩10分圏内に三つの百貨店がありながら、この店にはひっきりなしにおしゃれな40~60代が訪れる。「服はあるほど売れる」と力強く話す西上乃り子オーナーと、50歳前後の顧客の古田典子さん、三浦美之さんに服に対する思いを聞いた。
広島市の専門店「クレエ」 西上乃り子オーナー× 顧客
![大人女性の新市場㊦ 左からオーナーの西上さん、顧客の三浦さん、古田さん](http://d23ihmxbfvktwx.cloudfront.net/uploads/2016/12/8bfe34920bdb4e398c47b36e871e370f.jpg)
特別感には弱い
西上 うちのお客さんは本当にお洋服が大好き。どの服を買ったかという話は、子供を通じた交友関係では出来ないので、ここに来て皆さんファッションの井戸端会議をしています。
古田 「ワイズ」などのモード服が好きだったけれど、年をとって家で過ごすことが増えると、着る服がなくなってしまいました。今は「オールドマンズテーラー」がちょうどいい。3万~6万円ぐらいで、受注会ではこの店にデザイナーさんが来て、直接提案してくれるのもうれしい。
三浦 肌触りはもちろんですが、体のラインに沿わないのに、妊婦にも見えないデザインがいいですね。こだわって作っているというメッセージ、みんなが着ていない特別感に弱い。
古田 麻やシルクなど長く着られるものが良いと思っています。洗濯でよれやほつれが出る服は、接客時に言ってもらわないと、もう絶対買わないと思ってしまう。
中国製の服は嫌
三浦 最後のバブル世代なので、狩猟民族の気持ちでいつも街をリサーチしています。参観日向けの服が必要なくなり、ワンマイルウェアの感覚で小奇麗に暮らせたらと考えるようになりました。私はパルコやセレクトショップにも気兼ねなく入りますが、ママ友はSCの「ニコアンド」や「スタディオクリップ」で買っていますね。ナチュラルブームを経験しましたが、あまりにナチュラルだと年をとると肌がくすんで見えるし小汚くなる。良い素材を選ばないと、という気持ちが芽生えました。
古田 友人の間では、そごうに今夏、「ギャルリー・ヴィー」が入ったことが話題です。シンプルだけれど上質感があって人気ですね。
三浦 情報収集は雑誌です。スタイリストの伊藤まさこさんが薦めるものは信頼しています。生活雑貨は「シェア・ウィズ・クリハラ・ハルミ」で見ることが多い。あんな店が服の売り場にあったら、入りやすいでしょうね。
西上 輸入品でなく国産品を買うことで、日本の企業にお金を払い、経済を回そうと考えるお客さんも多いです。
古田 私も中国製は嫌ですね。この素材で大丈夫という安心を得たい。日本製で良いデザインの服が少ないから、もっと増えて欲しいです。
(金谷早紀子)
(繊研 2016/11/25 日付 19597 号 1 面)