欲しいのは自分服 大人女性の新市場㊥

2016/12/30 06:52 更新


リンクする生き方と装い


 11年に雑誌『ナチュリラ』の別冊としてスタートした『大人になったら、着たい服』。年2回、5万部を発行し、50代を中心に幅広い読者層を持つ。百貨店では人気ショップを集めた限定店も開催。大人市場を狙う企業から注目度も高い。


主婦と生活社暮らしとおしゃれ編集部編集長 梅田良子さん

大人女性の新市場㊥ 梅田良子編集長


グレーヘアのまま


 ナチュラル&リラックスがテーマの『ナチュリラ』は、35~45歳がコアターゲットです。もう少し上の世代が読む雑誌を考えた時に、コンサバ系や赤文字系の延長のものしかなかったことに気づきました。そことは志向が違うな、アンチエイジングより年相応でおしゃれがしたい、グレーヘアのままでいい、デニムに白いTシャツがかっこいい。その感覚を表現したくて創刊しました。50、60代の人が理想の服になかなかめぐり合っていない状況や、ナチュリラ世代の人たちに将来の参考にして欲しいと思って、タイトルを「着たい服」としています。1号目の表紙に選んだのが、スタイリストのチズさんのスナップ。どこのブランドを着ているか一目で分からないし、当時のはやりじゃないワイドパンツをはいていて、50代半ばなのにTシャツとサスペンダーで遊び心がある。まさに私たちが表現したいスタイルでした。

ちょっと裏切る


 伊勢丹新宿本店や阪急うめだ本店で、期間限定店を出しています。伊勢丹新宿本店では、15、16の服のショップやブランドを集め、売り上げ目標も達成しています。お客さんからは、「普通のTシャツがいいのに、ちまたにない」「ミセスターゲットだと途端におばちゃんになる」という声を聞きますね。皆さん本当に自分に合う服がないと困っておられます。紙面でも、「パーマネントエイジ」のカシミヤTシャツの特集は、ツボを突いていると人気ですね。うちの読者は洋服にすごく関心があります。取り上げたローカルの店を、東京や横浜の人も訪れているという話をよく聞きますよ。

 編集メンバーも40、50代で作っています。体形も変わるし、会社員からフリーランスになったりとライフスタイルも変化する。自分自身がどうありたいのか、自分のブランディングを考える時期だと思うんです。どう生きていくかが、どう装うかにもリンクしてくる。うちが支持されているのは、そんなタイミングを迎えた人たちが、すてきなお手本がないと悩むなかで、「この年でこんなファッションをしていいんだ」という驚きが心に刺さるんだと思います。年齢のイメージをちょっと裏切りたいと思っていますね。

大人女性の新市場㊥ 雑誌のコンセプトを体現している1号目の表紙
雑誌のコンセプトを体現している1号目の表紙

(繊研 2016/11/24 日付 19596 号 1 面)



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事