実需時代を勝ち抜く(上) 中途半端は通用しない

2018/08/12 07:00 更新


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 レディス市場で年々、実需買いが強まっている。必要に迫られて明日からすぐ着られる服を探す女性も多い。目的のアイテムに対して比較購買するのが当たり前の今は、どっちつかずのブランドは選ばれない。「こういう服が欲しいときはこのブランド」と指名買いされるような、他社にない強みがますます重要になっている。

(レディス取材班)

 百貨店キャリアゾーンについて、「中途半端なブランドは厳しいが、ブランドらしさのあるところは数字も良い」と話すのはそごう・西武。同社の百貨店にある定番キャリアブランドのなかでも、誰もが知っている安心感や着心地の良さをベースに、適度にトレンドを加えたり独自の工夫をしているブランドが支持される傾向にある。

 物作りへのこだわりやMDの修正力も強みで、そうしたブランドは地方、都心の店舗を問わず売り上げも安定しているという。百貨店としても、仕事用のきちんとしたジャケットスタイルなどを分かりやすく打ち出すことでほかの商業施設と差別化する。

◆数センチで鮮度

 キャリアブランド「インディヴィ」(フィールズインターナショナル)は、15年秋冬から改めて百貨店キャリアとしての品質、品格と、フロア内で買いやすい価格という立ち位置を追求し、6シーズン連続で客数を増やし、売り上げも順調だ。合繊の洗えるジャケットは1万9000円という設定。

 かつて通勤着のカジュアル化に流された時期もあったが良い結果にはつながらなかった。ブランドに求められていたのはカジュアル感や強いトレンドよりも、きちんとした場に着て行ける安心感や着心地の良さ。「お客様の声に応え信頼を裏切らないことを重視」している。

 「ボッシュ」(東京スタイル)は今のキャリア層のニーズを「1週間に何度使えるかという頻度と、今買ってすぐ着られるという実需、そして長く着られること」とみている。ただしベーシックな商品であっても〝数センチ単位のアップデート〟で今年らしさや鮮度を表現する。

 一方、普遍的なこだわりとして「シルエットやサイズ感など、いつでもきれいに見えること。ここは裏切ってはいけない」。消費者の情報収集力が上がり、色々なブランドを目的によって使い分けるなかで「中途半端な商品は通用しない」。得意のパンツはテーパードでもワイドでも、太もも周りのサイズ感、タックの入れ方などスマートに見えるパターンを追求している。

シンプルで長く着られることを前提に、色やバランスで新しさを出す(「ボッシュ」の上質ライン「ビーアビリティ」18~19年秋冬物)

◆仕事着の安心感

 百貨店とファッションビルのブリッジで成長を続けているのが「トーナル」(エムファースト)だ。品質や実用性に今っぽい抜け感や少し買いやすい価格を組み合わせることで独自の市場ポジションを狙い、西武池袋本店やルミネ有楽町などに出店している。

 売れるのはやはり「今使える服」。15年のデビュー以降、ノーカラージャケット、タックパンツ、ブラウスなどの定番商品を軸に、この時期にトーナルに行けばこのアイテムがあるというイメージ作りに力を入れてきた。デザイン性が強みではあるが、トレンドであっても袖に大きなフリルが付いたブラウスはジャケットの下に着られないため作らない。働く女性にとってのリアルさが判断基準だ。

 働く女性のファッションは年々カジュアル化が進んでいる。一方できちんと感や安心感を重視し、仕事着はいつもこのキャリアブランドで買うという固定客も多い。働く女性にとって仕事着は日常着であり、ストレスなく着られることも求められる。そんな商品を提供するために、進化させるべきことと変えてはいけないことを理解しているブランドは強い。


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